2021 Fiscal Year Research-status Report
リーマン多様体の局所等長埋め込み問題に現れる可積分条件と不変式
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20K03589
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
阿賀岡 芳夫 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 名誉教授 (50192894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 一博 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (00569832)
奥田 隆幸 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (40725131)
田丸 博士 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50306982)
橋永 貴弘 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (40772132)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 局所等長埋め込み / 不変式 / 曲率 / 左不変計量 / 定曲率空間 / 4点配置 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.左不変計量をもった3次元リー群から4次元定曲率空間への局所等長埋め込みについて、曲率が generic の仮定のもとで、埋め込み可能な左不変計量をすべて決定した。リー群がコンパクト単純の場合、定曲率の球面から定曲率空間への局所等長埋め込みの存在はよく知られているが、それ以外にも3次元球面上には埋め込み可能な左不変計量の存在することが確認できた。この埋め込みは SO(3) の5次実既約表現を使って構成されるものである。曲率が退化している場合について未解決なケースがまだ残されており、これは今後の研究課題である。(この項は、橋永貴弘氏との共同研究) 2.3次元リーマン多様体を余次元が2である5次元ユークリッド空間へ局所等長に埋め込めるための条件について研究した。この課題に関しては、兼田英二氏の先行研究があるが、兼田氏の研究手法を更に展開することにより、このケースの obstruction は少なくとも曲率の3階微分まで考察しなくてはいけないことが確定した。4次元ユークリッド空間への埋め込みの場合は曲率の1階共変微分を使うことにより必要十分条件が記述できたことと比べると、余次元が2の場合の問題の難しさが浮き彫りになったといえる。逆に、曲率の3階共変微分を用いると実際に埋め込みの obstruction をとらえられる可能性が高く、これについては引き続き研究を進める予定でいる。 3.幾何構造の不変量を調べることは、等長埋め込み問題だけでなく、幾何学全般にわたる重要な研究課題である。その最も簡単なモデルケースとして、射影平面の generic な4点が生み出す幾何状況に関して研究を行った。これは不変量が発生する以前のいわゆる平坦な空間の研究に相当するもので、4点配置の生み出す交点・交線の配置に関して、その幾何構造を記述する不変式・恒等式の存在を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の基盤となる橋永貴弘氏との共著論文(4次元ユークリッド空間内の超曲面を内在的に特徴付ける研究をまとめたもの)の執筆が完了し、その成果の拡張となる定曲率空間への局所等長埋め込み問題についても研究は順調にすすんでいる(完成論文は、現在投稿中)。更に課題を共有する研究者達と Zoom で Workshop を開催し、有意義な意見交換を行い、更なる発展につながりうる知見を得ることができた。多様体の次元・余次元に応じて局所等長埋め込み問題は様々な様相を示すが、各々の場合について個々の成果が着実に積み上げられている。
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Strategy for Future Research Activity |
曲率が退化した場合の局所等長埋め込みの存在・非存在を確定する問題、余次元が2の場合の研究など、まだ最終決着のついていない課題について更に研究をすすめる予定でいる。研究に要する表現論上の大道具・小道具類は今までの研究により既に出揃っており、このような状況の下、問題解決に向けて邁進したい。最終段階において、書き下せば膨大な長さになる式(不変式・共変式)が現れる可能性が高いが、これに関しても記号的方法という道具が既に整備されたので、時間をかければ多くの課題に関して最終決着できる可能性が高い。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍のために出張を控えざるを得なかった。そのために未使用額が生じてしまった。最終年度にあたる来年度は、対面で行われる研究集会に極力参加し、本研究で得られた成果の報告、並びに更なる発展に向けての意見交換を積極的に行う予定でいる。そのための出張旅費として研究費を使用する予定でいる。また、図書類等の研究資料は絶えず新たなものに目を通す必要があり、その購入費にも使用する予定でいる。
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Research Products
(22 results)