2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K03598
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
三石 史人 福岡大学, 理学部, 助教 (80625616)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 無限大ラプラシアン / 距離空間上のPDE |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度において, 福岡大学の柳青氏との共同研究により, 無限大ラプラシアンのディリクレ主固有値問題を, 古典的なユークリッド空間の場合から, 一般距離空間の場合へと拡張した. 一般に距離空間上の偏微分方程式を扱う際の難点は, 座標系を用いずにその方程式の設定をどう解釈するか(いまの場合, 解の定義をどうすべきか, また同時に主固有値とは何であるかに答える)という事である. 我々はこれにある種の満足のいく解答を与えた. 具体的には, 次の様に解決した. そもそも無限大ラプラシアンの固有値問題は, ユークリッド空間の場合にさえ, 粘性解の意味で解釈される. ユークリッド空間の場合には粘性解の同値な定式化がいくつか存在する. ユークリッド空間の場合, 粘性優解の定義の一つは距離関数を用いた比較原理に基づくものである. 我々はこれを, 距離空間上の粘性優解の定義として採用する事にした. 固有値の方は, 粘性優解の固有値に相当するパラメーターの臨界値として定式化を与えた. この様に定義したとき, その臨界値は与えられたドメインの内半径の逆数に一致する事を示した. また, 適当な範疇で優解の下限を考えたとき, またそれも優解である事を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19の流行により, 研究とは別の仕事の負担が増え, 結果的にあまり研究がうまく進まなかった. また出張もほとんどなく, 現地での研究進展の打ち合わせなどができなかったことも研究の遅れに影響している. ただし, その中でも距離空間上の解析学に関して, 一つのまとまった結果を得る事ができた. この内容の研究は現在も進行中である. また, いくつかの研究も途中で進行が止まっており, 早急にこれらを回転すべく努力している.
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Strategy for Future Research Activity |
無限大ラプラシアンの固有値問題を距離空間および測度距離空間で推し進めていく. この問題は自然な問題を多く含み, 非常に興味深い. また別問題として, 部分多様体の全曲率にまつわる幾何を, 特異空間に対し展開しようと画策している. また, ユークリッド空間の中の特別な凸図形であるデルザント多面体と, シンプレクティックトーリック多様体の一対一対応と, 収束の関係についてもっと深く理解していきたい.
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Causes of Carryover |
すべては, COVID-19の影響である. 特に, ほとんどすべての研究会が中止あるいは延期あるいはオンラインになった事により, 旅費を使用できなかった事が大きい. 出張もきっと2021年度もなかなか難しいので, PC などの物品や, 書物を購入する為に繰り越し分を使用する.
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Research Products
(3 results)