2020 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic behaviors of quantum invariants of knots and three-manifolds
Project/Area Number |
20K03601
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
村上 斉 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (70192771)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋上 和弘 九州大学, 数理学研究院, 准教授 (60262151)
藤 博之 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (50391719)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 色付きJones多項式 / Kashaev不変量 / Chern-Simons不変量 / ねじれReidemeister torsion / 結び目 / 体積予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
米国テキサス大学ダラス校のAnh Tran氏と共同で,色付きJones多項式の漸近挙動について研究を進めている.3次元ユークリッド空間内に自明に埋め込まれた輪環面上にある結び目をトーラス結び目と呼ぶ.また,トーラス結び目の正則近傍の表面にある結び目を反復トーラス結び目と呼ぶ.以前,J. Dubois 氏とR. Kashaev 氏は,トーラス結び目のKashaev不変量(色付きJones多項式の特殊値と一致することが村上順氏と研究代表者によって示された)の漸近挙動を調べて,その位相的な性質を得た. Tran氏との共同研究では同様の結果を反復トーラス結び目の場合に得た.特に,Kashaev不変量とChern-Simons不変量及びねじれReidemeister torsion との間の具体的な関係式を導いた. また,8の字結び目はもっとも簡単な双曲結び目と知られている.つまり,結び目補空間に双曲構造が入るのである.R. Kashaev 氏,および村上順氏と研究代表者の提唱した体積予想(及びその一般化)によると,色付きJones多項式の漸近挙動は結び目補空間の双曲体積(ただし,色付きJones多項式のパラメータにより双曲構造が変わる)を決定すると考えられている.同様のことを8の字結び目のcable(結び目の正則近傍の表面にある結び目)に対して考察した.これもTran氏との共同研究である.その結果,あるパラメータに関して体積予想の一般化がなりたつことを証明した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19の影響により,予定していた研究連絡がすべて電子メールになったにもかかわらず,米国テキサス大学ダラス校のAnh Tran氏との共同研究が好調であった.特に,新たな研究テーマ(8の字結び目のcableの色付きJones多項式の研究)を見いだせたのが予定していた以上の結果であった. 一方,同じCOVID-19により,多くの研究集会が遠隔で行われたため,直接会っての意見交換ができず,新たな知識を得ることが少なかったことは残念である.
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き,結び目の色付きJones多項式の漸近挙動の研究を続けるつもりである. まず,8の字結び目の色付きJones多項式の漸近挙動に関して,これまで知られていないパラメータに関して研究を続けたい.主にAnh Tran氏との共同研究になる予定である. 次に,8の字結び目の double に関しての計算も進めたい.これは,双曲構造を持つ部品を2つもつ衛星結び目であり,その色付きJones多項式の漸近挙動が,どのようにChern-Simons不変量やひねりReidemeister torsionを決定するかが非常に興味深い.この結び目の指標多様体は複雑であるため計算は困難を極めることが予想される.また,分担者である大阪工業大学の藤氏,東京大学の岩木氏,東北大学の寺嶋氏と共同研究も進めてゆきたい.この研究は理論物理との接点が多いため,分担者の樋上氏を初めとする理論物理学者からの情報収集も大切になると思われる.
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響で予定していた出張(海外を含む)が果たせなかったため. 次年度は,可能ならば出張に充てたい.そうでなければ遠隔による共同研究推進のため通信関係充実に充てる予定である.
|
Research Products
(6 results)