2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03606
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
五味 清紀 東京工業大学, 理学院, 教授 (00543109)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 微分KO理論 / Atiyah-Hirzebruchスペクトル系列 / トポロジカル絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 微分KO理論の新たな定式化を与えた. この定式化は, Karoubiの次数付け, 並びに, フェルミオンの理論の作用汎関数における質量項に相当するもの, それぞれを用いて与えられている. 特に後者はFreedとHopkinsによるトポロジカル相・アノマリーの分類に関する予想へのアプローチにおいて, 最初の一歩という役割を持つ. こうした微分KO理論の定式化の一般化として, ねじれ微分KO理論の定式化もでき, また, (ねじれ)微分(複素)K理論の定式化もできる. この研究実績は山下真由子氏との共同研究によって得られたものである. 2. 位数2の巡回群Z/2を係数とし, ねじれとして1次のZ/2係数コホモロジーと3次の整数係数コホモロジーを持つねじれK理論について, Atiyah-Hirzebruchスペクトル系列の最初の非自明な微分を, コホモロジー作用素として特定した. その応用として, 3次元レンズ空間の全てのねじれK理論を決定することができる. この結果は, BraunとSchafer-Namekiにより与えられていた, Kunnethスペクトル系列を使ったSO(3)のねじれK理論の計算手法を, 大幅に簡略化した上で, さらに一般化するものである. 3. 2次元までのCIIクラスのトポロジカル絶縁体に対し, ねじれ同変コホモロジーに値をとる位相不変量を導入した. またこの不変量は, CIIクラスのトポロジカル絶縁体のホモトピー類のなす集合から, 不変量が値をとるコホモロジーへの単射であることを示した. この単射は, 特別な場合には, さらに全単射であることがわかる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Atiyah-Hirzebruchスペクトル系列に関する結果や、クラスCIIのトポロジカル絶縁体の位相不変量は、研究計画に沿って得られたものということができる。質量項を用いた微分KO理論の定式化は、研究計画当初には想定していなかった成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き, 計画されていた研究を遂行するとともに, 関連するテーマについて積極的に研究をしていく.
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Causes of Carryover |
COVID-19感染防止対策のための国および大学の対応により, 国内および国外旅行が制限されたため. 制限が解除され次第, 旅費としての使用を計画している.
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