2023 Fiscal Year Research-status Report
Structural stability problem of real algebraic maps and its application
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20K03611
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
小池 敏司 兵庫教育大学, その他部局等, 名誉教授 (60161832)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 聖雄 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 准教授 (50408704)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 構造安定性 / 結構次元 / ナッシュ写像 / 実解析写像 / 半代数的同値 / 部分解析的集合 / ジェットの十分性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一目標は、実代数的写像(ナッシュ多様体間のナッシュ写像)に対する構造安定性問題を解決することである。特に、その結構次元(ナッシュ安定写像全体がナッシュ写像空間内で開かつ稠密になる多様体の次元の対)が、塩田昌弘氏、K. Bekka 氏、大本亨氏によって決定付けられた実解析写像の結構次元に一致することを示すことである。この一致性については昨年度に示しており、第一目標は解決済みである。しかし、上記の実解析写像の結構次元の決定結果の証明には、必ずしも完全ではない箇所が見つかっている。そのため、その不十分さを埋める目的から、亡くなられた塩田氏のアイデアも参考に、Bekka 氏、大本氏、田邊真郷氏との共同で、結構次元でない多様体の次元の対を特徴付ける共同研究を行い、5人の共著論文を書き上げた。この論文は、現在、欧州の雑誌に投稿中である。 無限回連続的微分可能写像の構造安定性問題を展開する上で重要になる概念の一つに、Rene Thom によって導入されたジェットの十分性がある。このジェットの十分性の概念を一般化した相対ジェットの十分性について、外国人研究協力者であるフランス・レンヌ大学の Karim Bekka 氏との共同研究でその特徴付けを与え、共著論文を書き上げていたが、当該年度に日本の雑誌より出版された。 一方、写像や集合が同値でないことを示す上で必要になる不変量導入の観点から、外国人研究協力者であるオーストラリア・シドニー大学の Laurentiu Paunescu 氏と、幾何学的接方向束のリプシッツ型について共同研究を行い、当該年度に共著論文を書き上げた。この論文は欧州の雑誌に受理されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要欄でも述べたように、本研究の第一目標は解決済みであるが、当初、問題にしていなかった塩田氏、Bekka 氏、大本氏による実解析写像の結構次元の決定結果の証明に不完全さが見つかり、それを埋めるための研究もすることになった。結構次元でない多様体の次元の対に対する特徴付けは与えたが、その特徴付けから外れる次元の対が結構次元であることを示す必要があり、現在、大本氏、田邊氏達と取り組んでいる。一つの次元対の系列を除いて、結構次元になることを示している。 また、昨年度までのコロナの影響で、外国人研究協力者達との相互訪問を通した共同研究で取り組もうとしていた、本研究の第二目標である「実解析写像の部分解析的構造安定性定理の確立」については、漸く、研究に取り掛かったところである。 以上の理由により、やや遅れているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況欄で述べたように、解決済みになった一致性に関する第一目標の結果をよりよくするためには、実解析写像の結構次元の決定問題に決着をつけることが重要である。そのため、後一つ残っている次元対の系列について、大本氏、田邊氏達との対面での議論やメールのやりとりを通して、実解析写像の結構次元になっていることを示す。 外国人研究協力者達と始めている第二目標である「実解析写像の部分解析的構造安定性定理の確立」については、相互訪問やメールのやりとりを通して、取り組んで行く。
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Causes of Carryover |
当該年度の使用予定額の大部分は、外国人協力研究者達と本研究の共同研究を行うために日本へ招聘する海外旅費、また、関連する日本人研究者達と本研究について議論するために相手方大学を訪問する国内旅費や関連する研究集会などに参加するための国内旅費などに充てられる予定であった。国内旅費についてはだいたい予定通り使用されたが、外国人協力研究者達との都合が合わず、海外旅費にあたる部分の経費を使用でき無かったため、次年度使用額が生じた。 次年度については、本研究とも関係がある日豪特異点研究集会を埼玉大学の福井敏純氏達と開催する予定であり、そのための経費として用いる予定である。また、上でも述べた本研究で残っている課題について共同研究を行うため、外国人協力研究者を訪問する予定で、そのための海外渡航費としても用いる。更に、関連する国内研究集会に参加するための旅費としても用いる。
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Research Products
(3 results)