2020 Fiscal Year Research-status Report
写像類群を用いたシンプレクティック4次元多様体の研究
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20K03613
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 直之 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (60611986)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 写像類群 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者のそもそもの目的は、写像類群を用いてシンプレクティック4次元多様体を構成することや新たな4次元多様体を構成するための手術を開発することである。一方で、写像類群そのものの研究、特に古典的・代数的な性質の研究も目的の1つである。 種数gでp個の点を持つ有向曲面の自己微分同相写像のアイソトピー類のなす群を写像類群とよぶ。有限単純群に関する古典的な問題として、最小の生成系を見つけるという問題があり、写像類群においても同様の問題が多くの数学者により考えられている。Dehnにより、 p=0のときの写像類群は有限個のDehn twistで生成されることが示された。のちに、Dehn twistの個数は2g+1個まで減らせること、さらにそれ以上減らせないことがHumphriesにより証明された。一方、Dehn twistにこだわらなければ、p=0のときの写像類群の生成元の個数は容易に減らすことができる。Wajnrybがp=0のときの写像類群は2元で生成されることを示した。さて、写像類群は階数2の自由群を部分群としてふくむことから、1元で生成できないことが知られているので、この結果は最良のものである。そののち、Korkmazによりp=1の場合が示されている。これまでに, 申請者はp>1の場合は3元で生成できることを示していた。しかしながら、生成元の個数をそれ以上減らせるかどうかまでは示すことができていなかった 。 この年度では、点付きの向き付け可能な曲面の写像類群について、種数が3以上、点の数が7以上のとき、写像類群が2元で生成できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り, 今年度は4次元多様体に関する研究結果をえることができなかった. 一方で写像類群の研究について一定の成果を得た. この理由からおおむね順調に進展しているとした.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに線識面上のLefschetz fibrationに関する結果を得ている. また, 全空間が極小で任意の有限表示群を基本群に持つLefshetz fibrationを構成している. これらの結果を用いて, 前述の構成した例が, 全空間が極小であるがファイバー和分解できない例であることを確認していく.
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルスによる影響のため、予定していた国内出張・海外出張をすべてキャンセルした。その代わりに、(新型コロナウイルスの状況にもよるが)当該年度は長期の海外出張を計画している。
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