2022 Fiscal Year Research-status Report
写像類群を用いたシンプレクティック4次元多様体の研究
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20K03613
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
門田 直之 岡山大学, 自然科学学域, 准教授 (60611986)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 写像類群 / 生成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
(向き付け可能閉曲面の)写像類群とは、向き付け可能閉曲面の微分同相写像のアイソトピー類のなす群である。写像類群の元を写像類と呼ぶ。NielsenとThurstonにより向き付け可能閉曲面の写像類は、周期的、既約、擬アノソフの3種類に分類できることが知られている。例えば、写像類群の有名な生成元として知られるDehn twistは既約な写像類である。DehnやLickorishにより写像類群は有限個のDehn twistで生成されることが示された。その後、HumphriesによりDehn twistによる最小の生成系が与えられている。しかし、Wajnrybにより、写像類群の生成系をDehn twistに限らなければ、たった2つの元で生成できることが示された。写像類群は巡回群でないことがわかるため、2元からなる生成系は最小の生成系であることがわかる。また、閉曲面とは限らない向き付け可能な曲面の写像類群に対し、同様の結果がKorkmazや申請者などの多くの研究者によって研究されている。さて、上述で扱われた生成元は、周期的な写像類や可約な写像類であった。今年度、廣瀬進氏との共同研究により、2つの擬アノソフな写像類により写像類群が生成されることを示した。特に、種数が十分大きい時は互いに共役な2元で生成されることや、生成元としていくらでも大きな拡大度を持つものが取れることを示した。MargalitとLanierは共役な擬アノソフな写像類で生成できることを示していたが、その個数には言及していなかった。今回、廣瀬進氏との共同研究により、MargalitとLanierの結果をより精密にした結果を得たことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の通り、廣瀬進氏との共同研究により、写像類群の生成系に関する結果を得た。特に、この研究はMargalitとLanierの結果をより精密にしたものである。このことから、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で述べた結果は、向き付け可能閉曲面の写像類群に関するものである。そこで、まずは閉曲面でない向き付け可能な曲面の写像類群に結果を一般化することができるかどうかを考えたい。これに対しては、申請者の向き付け可能曲面の写像類群の最小の生成系に関する結果の手法を用いて調べたい。また、研究実績の概要で述べた結果を得るために考えた手法をLefschetz fibrationに関する研究に活かしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス蔓延の影響により、国内・国外出張の数を減らさざるをえなかったため、次年度使用額が生じた。
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