2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K03617
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
國分 雅敏 東京電機大学, 工学部, 教授 (50287439)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微分幾何 / 平坦 / 波面 / 対称性 / 正則性 / 特異点 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては,単著論文「Flat fronts with polyhedral symmetry in hyperbolic three-space」を執筆し,学術誌 Journal of Geometry, Vol.113, No.1(オンライン版2022年2月22日)への掲載に至った.正多面体と同様の幾何的対称性をもつ平坦波面について研究し,それらの特徴づけや具体的な表示式を示したものである.波面は広義の正則性をもつ曲面の例と言える.正多面体は,面の数が4,6,8,12,20 の5種類あるが,論文で得られた平坦波面もそれぞれに応じて5種類ある.合同変換の対称性の一致に加え,頂点数とエンド数が一致する等の幾何的類似性を持つ. それに関連して,研究成果の口頭発表を2件行った.「On flat fronts with symmetry」Workshop on Surface Theory (2022年3月5日,於横浜) および「Flat fronts in hyperbolic three-space and related topics」, 日本数学会本会 幾何学分科会特別講演(於埼玉大学)である.後者については,学会自体の対面開催が中止されたため,予稿集の提出をもって成立とされた(日本数学会の HP 参照.)なお,日本数学会幾何学分科会幹事より,2022年度中に講演の機会を設ける方向との連絡をいただいている. また,投稿中の共著論文「Analytic extensions of constant mean curvature one geometric catenoids in de Sitter 3-space」について,査読者の肯定的な助言に基づいていくつかの修正を施し,再投稿中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に取り組んで2年目となるが論文執筆・出版することができた.また,次に取り組むべき課題となるような題材を得ることができている.具体的には,双曲型空間の正多面体的対称性を有する平坦波面を研究した際に,更に多様な対称性に関する平坦波面の研究についての課題である.これらの理由により,研究はおおむね順調に進んでいると自己評価する. 一方,研究課題名にもある「広義正則」に関する基礎的な部分の研究については,連携研究者とのディスカッションに留まっている.とはいうものの,方向性など主要な部分は見えており,詳細を詰めることなどの研究を継続中である. なお,今年度も昨年度に引き続き,新型コロナに対する感染予防対策等の理由で,研究打合せや学会出張等が制限されてしまったこともあり,当初の研究計画を推進できなかった部分があった.
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Strategy for Future Research Activity |
まず研究に対するエフォートをコロナ以前の水準に戻せるように努める.また,バイアウト制度の活用も検討したい.そのうえで次の3つのテーマに取り組むことを重点としたい. (1)対称性をもつ平坦波面のなかでも,単周期的,二重周期的対称性をもつものについて研究を進める. (2)一般的な仮定の下で,解析的曲面の解析的完備性(解析的極大性)について研究を進める.ここで述べた一般的仮定とは,定曲率計量の入った多様体に限 らず,より一般の実解析多様体及びそれを一般化したものである. (3)Bernstein 型定理の,特異点を許容した場合への一般化の可能性を探求する. 他の研究者とのディスカッションや共同研究は,依然オンラインが中心となると予測されるが,状況を見極め,可能ならば対面型の取り組みも行いたい.
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Causes of Carryover |
令和2年度に引き続き令和3年度も,当初計画していた研究打ち合わせや学会・シンポジウムが延期や中止もしくはオンライン開催となった.そのため,旅費の支出が全くなかった.次年度については,いくつかの学会・シンポジウム等については今後対面開催が期待される,それらへの参加のための旅費に使用したい.また,研究に従事できる時間の確保のため,バイアウト制度の活用も検討したい.
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Research Products
(3 results)