2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03623
|
Research Institution | Kitakyushu National College of Technology |
Principal Investigator |
栗原 大武 北九州工業高等専門学校, 生産デザイン工学科, 准教授 (60637099)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グラフ / 対称R空間 / 等質ラグランジュ部分多様体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は対称空間に関する以下の二つのトピックについて、有限グラフを通じて理解することである。(A)対称R空間M上の大対蹠集合Sから自然に得られる有限グラフΓについてMの不変量とΓの不変量の関係性を見出す: (B)非コンパクト型エルミート対称空間Mにおける等質ラグランジュ部分多様体Lの構成・分類問題を根付き木Tを用いて行う。この(A)(B) のそれぞれについて今年度の研究成果を以下で述べる。 (A)分解不可能な対称R空間Mの大対蹠集合Sには、Mの計量から自然に定まるグラフ構造がある。このグラフは距離可移グラフになることが知られている。距離可移グラフはグラフの中でもかなり良い性質をもつグラフで様々な不変量が知られている。このグラフの不変量とMの不変量の間にすでにいくつかの関係があることは本研究を始める前からとらえていたが、新たな不変量の関係を見つけることができた。対称R空間Mは必ずあるコンパクトエルミート対称空間の実形になっているが、Mを実形として含むエルミート対称空間は一つとは限らない。以前あるMに対して、Sのグラフ不変量とMの幾何的不変量にズレがあることを発見していたが、そのズレの原因は、Mそのものでなく、Mを実形として含むエルミート対称空間の幾何的不変量とSのグラフ不変量に関係があるためであることがわかった。 (B)当初の予定通り、本年度はM=Sp(n,R)/U(n)の場合に、等質ラグランジュ部分多様体Lの構成・分類問題を考えた。この研究を始める前は、Lの構造は全て根付き木の言葉で翻訳できるものしかないと思っていたが、Sp(2,R)/U(2)の場合に、根付き木の言葉で翻訳できないLを構成した。そのため、今後はそのような特殊なLがどの程度あるのか分類・構成を行っていきたいと思う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A),(B)ともに当初予想していたものがいくつかの場合に成り立たないことが分かったが、その成り立たない例がいずれも興味深く、新たな研究対象が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度新たに見つかった、予想外の事実を精査して、なぜ予想外の事実が得られたのかという数学的な背景を探ったり、そこから新たな興味深い事実を見つけ出していきたい。またそれと並行して当初の計画を進めていきたい。
|
Causes of Carryover |
昨年度から続くコロナウイルスの影響で、予定していた出張にいくことができず、旅費を予定通り使うことができなかった。また物品費などもコロナウイルスの影響で研究が予定通り遂行できないところがあったし、前年度からいただいていた若手研究の科研費からすべて支出したため、予定通りに使うことができなかった。
|
Research Products
(5 results)