2020 Fiscal Year Research-status Report
高階パンルヴェ方程式のStokes幾何とインスタントン解の構造解析
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20K03637
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
梅田 陽子 城西大学, 理学部, 准教授 (90606386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 完全WKB解析 / インスタントン解 / Stokes幾何 / パンルヴェ階層 / 野海山田方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
完全WKB解析により解の接続問題を議論する際,線形と非線形の間に大きな違いがある. 線形の場合,解の接続公式は隣接領域上に定義されたボレル和の1次結合の形で記述できる.一方非線形の場合,零パラメータ解のボレル変換がある点で特異点を持てば,その特異点の整数倍の形をした特異点が無限個現れる.その影響で解の接続公式に,インスタントン項と呼ばれる複雑な項を含む無限級数が現れ,正しいStokes現象を記述するためにインスタントン解(以下解と略記)を必要とする.その解の構成は非常に難しい.これまでに4種類のパンルヴェ階層(PJ)mの解の具体的表示は得られているが,解の特異性については未解決の部分がある.今年度は (i)野海山田系(NY)mの解の構成,(ii)(PI)mの解の特異性の解明 に取り組んだ. (i)先行研究(青木,本多,梅田)で開発した解構成法(方程式に附随する代数構造を取り出し,未知関数の母関数と多重スケール解析を組み合わせる)を(NY)mに適用できるか検証した.しかし方程式の形が複雑で一筋縄ではいかない.計算はなかば途中だが(NY)m(m:偶数)の解の基底を記述すると予想される因子を発見し,附随する代数構造を見出すところまで進んだ.(PJ)mの解の基底には,ある種の2次形式が共通して現れた.見つけた因子は,2次形式に対応するもので,解構成の鍵となるであろう. (ii)(PJ)mの解の場合,変わり点の他に多くの特異点が見かけ上現れる.その特異点の出現は非線形に頻出する小分母問題に起因する.しかし(PJ)mの解の低次項については,小分母が消えてしまい問題は起こらない.この問題は2010年頃から自身の未解決問題で,研究が止まっていた.これらを解明するために,(PI)mの解構成を見直し,etaの負冪に展開せず,固有ベクトルに着目し,解係数決定方程式を導出するという新視点で再研究している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響により,オンライン環境での教育活動の準備等にかなりの時間を割いた. また予定していた研究集会及び当該分野の専門家との研究打ち合わせも全てキャンセルとなった.これらの事情により,研究の進展がやや遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,今年度の研究実績の概要で述べた(i)と(ii)の研究を進める. またLax対を持つ非線形方程式のStokes幾何の研究についても取り組みたい.具体的には,行列型パンルヴェ方程式のStokes幾何の構造を研究する.行列型パンルヴェ方程式のStokes幾何においても,変わり点同士の縮退,変わり点とStokes曲線の縮退,Stokes曲線同士の縮退現象が起きるかどうか?について調べたい.また非線形方程式のStokes幾何に特有の第2種変わり点は,未だ解明されていない点が多い興味深い対象である. 特に,高階パンルヴェ方程式の第1種, 第2種変わり点に着目して研究を進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により, 予定していた研究集会及び当該分野の専門家との研究打ち合わせが全てキャンセルとなった。これらの事情により, 20年度の未使用分の旅費について,次年度使用予定へと計画変更となった。
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