2022 Fiscal Year Research-status Report
高階パンルヴェ方程式のStokes幾何とインスタントン解の構造解析
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20K03637
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
梅田 陽子 城西大学, 理学部, 准教授 (90606386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 完全WKB解析 / ストークス現象 / 高階パンルヴェ方程式 / インスタントン解 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,研究目標に挙げている「Lax対をもつ非線形方程式のStokes幾何」の研究に重点を置いた. 高階パンルヴェ方程式のStokes幾何は非常に複雑であるが,4種類のパンルヴェ階層(PJ)m (J=I,II,IV,34)のStokes幾何とその付随するLax対のStokes幾何の間に共通構造(非線形の変わり点,Stokes曲線上の点で,対応するLax対のStokes幾何に退化現象が観測される)が成立する.更にこの構造は,パンルヴェ階層の解の接続問題の記述において重要な役割を果たす.「この共通構造はLax対をもつ非線形方程式が持つ普遍的性質であるか?」という問題に対し,必然的に現れる退化であると予想している.今年度は,その退化(変わり点の合流, ストークス曲線の縮退現象)の数学的背景を解明するために,4次元パンルヴェ方程式にlarge parameterを導入し,Lax対ならびに非線形の変わり点の計算を進めた.計算途中の段階だが, 変わり点同士の縮退現象について,先行研究で4種類のパンルヴェ階層に対して確かめた現象と同じ現象が起きる例を得ており,計算自体は順調である.しかし具体例を得ている段階で,統一的視点での代数構造の記述まで進められなかった.行った計算に対しても,整理が必要である.また, 2022年度秋季総合分科会(函数解析分科会特別講演) において,タイトル「A unified family of PJ-hierarchies(J=I,II,IV,34) with a large parameter」で研究成果の発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高階パンルヴェ方程式のStokes幾何の研究と同時に野海山田方程式のインスタントン解の研究に取り組む予定であったが,インスタントン解の研究に対する十分な時間的確保ができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,野海・山田方程式系のインスタントン解構成問題と4次元パンルヴェ方程式のStokes幾何の研究に取り組む.
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Causes of Carryover |
2023年4月から研究代表者の所属が変更となることに伴い,22年度に実施予定の研究費を次年度使用へと計画変更させて頂いた.そのため未使用額が生じた.今年度に, 国内外の研究者との議論を行う。
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