2021 Fiscal Year Research-status Report
A New Approach and Development to Singular Integrals in Noncommutative Harmonic Analysis - Fusion of Real Analysis and Representation Theory
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20K03638
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
河添 健 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 名誉教授 (90152959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 特異積分 / ヤコビ解析 / アーベル変換 / Hardy空間 / アトム分解 / クウォーク分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヤコビ解析におけるHausdorff作用素のHardy空間上の有界性の証明において、従来得られていたHardy空間のアトム分解をより精密に議論した。これにより各アトムをさらにクウォークと名付けた関数の和に分解することができた。Hausdorff作用素に現れるdilationをこのクウォークに適用することにより、求める有界性が得られた。またこのアトムのクウォーク分解を用いることにより、アトムを特徴付けることに成功した。ヤコビ解析におけるアトムの特徴づけは、平行移動の議論が使えないこと、アーベル逆変換委より、Q=[a,b]$に台をもつユークリッド空間のアトムが[0,b]に台をもつ関数に移ってしまうことなどから難しかったが、クウォークの単純な形を用いることにより有効な特徴付けが得られた。このようにHardy空間の特徴付けを振り返る議論を中心に行ったが、別の特徴付けのアプローチとしてヤコビ解析におけるdiationをユークリッド空間のdiationの逆アーベル変換で置き換える手法も試みた。結果としては同じHardy空間が得られ、またHausdorff作用素のdiltionをこのdilationで置き換えても有界性には影響がなかった。このことから今後の研究においてはそれぞれのdilationを定義や証明において使い分けることが可能となった。本研究の直接の課題ではないが、本研究のアトムのクウォーク分解が、素粒子モデルのクウォーク分解と類似するかは極めて興味深い課題である。本研究のアトムのクウォーク分解では、任意のクウォークの和はアトムにならず、モーメント条件を満たす和のみがアトムとなる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究ではヤコビ解析の成果から、より一般的な半単純リー群上での特異積分論の構築、とくに実Hardy空間上での各種の特異積分の有界性を目標としている。当初の予定では、多変数化および一般の半単純リー群上のアーベル変換への拡張を議論する時期であるが、やや遅れている。しかし上述の実績報告で述べたようにアトムのクウォーク分解など新たな発見があり、研究全体からすれば一定の成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように、より一般的な半単純リー群上での特異積分論の構築、とくに実Hardy空間上での特異積分の有界性を目標とする。この過程で障害となるのは、いかにHardy空間を定義するかであるが、ヤコビ解析で得られたクウォークを拡張すれば、クウォークを用いたHardy空間の構成も可能である。この場合、特異積分の有効性とはきわめて相性が良い。今後はクウォークの有効性を詰めて行きたい。
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Causes of Carryover |
海外での研究打ち合わせ、国際会議での成果発表などを旅費として計上していたが、コロナ感染拡大により、渡航ができず予算の執行ができなかった。本研究を遂行するには海外研究協力者との連携が必須であり、とくに対面での議論は欠かせない。本年度も海外での研究打ち合わせ、招聘、国際会議での成果発表を予定している。
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