2020 Fiscal Year Research-status Report
微分方程式の特異点の合流,ルート系の退化,そしてモジュライ空間の変形理論
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20K03648
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
廣惠 一希 千葉大学, 大学院理学研究院, 准教授 (50648300)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 不確定特異点 / モジュライ空間 / シンプレクティック幾何学 / 複素多様体の変形理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマン球面上に不確定特異点を持つ微分方程式をFuchs型微分方程式の合流として構成する問題を考え,次のような成果を得た.微分方程式の不確定特異点はどんなものでも素朴には確定特異点の合流として得ることができる.ただし我々は微分方程式の大域的,局所的な不変量を保存する,またはその変化が追跡可能であるような合流操作を考えたい.こうした「良い」合流操作による微分方程式の族は高々不分岐な不確定特異点をもつリジッドな方程式に対して大島利雄によって構成されている.我々はこれをアクセサリーパラメーターをもつリジッドではない微分方程式に以下のように拡張をした.まず,不分岐不確定特異点の福原-Turrittin-Level標準形の同型類をゲージ変換群の余随伴軌道とみなし,これら余随伴軌道の複素解析的な族を微分方程式の特異点の合流に対応して構成した.これを用いることで微分方程式のモジュライ空間の変形を構成することができる.そしてこの変形の局所切断をとることで微分方程式の複素解析族を得る.これが特異点の合流による微分方程式の族となる.こうした族はHeunの微分方程式の合流の族や,川上-坂井-中村による4次元のアクセサリーパラメーターを持つ微分方程式の合流族など,知られている微分方程式の族を含む自然なものとなっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的の一つであった合流による微分方程式の族の構成の完成にめどが立ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
合流による微分方程式の族を構成したが,リーマン・ヒルベルト対応の対応物であるモノドロミー・ストークス構造への拡張を目指す.
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Causes of Carryover |
前年度で終了した研究課題をコロナ感染症の影響で今年度まで延長をしたため.次年度に繰り越した分はオンラインでの研究発表,研究打ち合わせのための設備投資を行う.
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