2023 Fiscal Year Annual Research Report
有限予測における表現定理とテプリッツ系に対する線形時間アルゴリズム
Project/Area Number |
20K03654
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
井上 昭彦 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (50168431)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | テプリッツ行列 / テプリッツ系 / 明示公式 / 多変量長期記憶モデル / 局所近似 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、2023年出版の論文で、minimalな多変量定常時系列に対し、そのブロック・テプリッツ行列の逆行列に対する新しい明示公式を導いた。その際、テプリッツ行列の逆に対し、考える時系列の双対過程が果たす本質的な役割を見出した。研究代表者は同じ論文で、その明示公式の次の二つの応用を示した:(i) 短期記憶多変量時系列のテプリッツ系に対するBaxter型定理、(ii) 多変量ARMA過程のブロック・ テプリッツ行列の逆行列に対する閉形式公式とテプリッツ系に対する超高速アルゴリズム。 上記のブロック・テプリッツ行列の逆行列に対する明示公式の応用は短期記憶過程に対するものだけであったが、研究代表者はJ.Yang 氏(台湾 Academia Sinica)との投稿中の共著論文で、上記のテプリッツ行列の逆に対する明示公式を応用して、テプリッツ系に対するBaxter型定理を多変量長期記憶過程に拡張した。その際に、テプリッツ行列の逆の評価に関する「局所近似」という新しい重要な観点を導入した。 上記のテプリッツ行列の逆に対する局所近似の観点は短期記憶過程に対しても重要であることを、研究代表者とJ.Yang氏は見出した。すなわち、局所近似を用いると、短期記憶過程のBaxter型定理の改良が得られることを研究代表者とJ.Yang氏は見出した。さらに、その際の副産物として、定常時系列のスペクトル密度のAR推定に関するある便利な判定条件が得られることを、研究代表者、J.Yang氏およびD.N.Politis氏、J.Wang氏の4人は見出した。これらの結果に関する論文は、現在準備中である。
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