2021 Fiscal Year Research-status Report
グラフ構造の幾何学的表現の解析による数論的変換のエルゴード理論
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20K03661
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仲田 均 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 名誉教授 (40118980)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | エルゴード理論 / 連分数変換 / Farey グラフ / 虚二次体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は前年度に引き続き下記の研究を行った: 1) 有限体の元を係数に持つ三つの多項式に対する一般化されたユークリッドアルゴリズムに関する研究は前年度に引きつづきフランスCNRS上級研究員のV. Berthe の研究グループとの共同研究を行い、その成果を論文として完成させた。特に、多項式間のグラフ構造を組合せ論の母関数の手法とエルゴード理論的手法の対比と相互のつながりについて新たな結果を得ている。論文はFinite Fields and Their Applicationより出版されている。 2) 複素連分数展開のエルゴード理論では研究対象のnearest integer型およびKaneiwa-SHiokawa-Tamura型の連分数に関してLegendre 定数が存在することの証明に成功した。その結果を論文として完成させ、Journal of Number Theoryに投稿し現在出版待ちである。さらに、これまで未完成であった6種類の nearest integer型連分数変換に対してグラフ構造を利用したこれらの自然拡大の構成に成功し、それぞれについて複素平面の基本領域となるフラクタル境界を持つタイルが存在することを証明した。これらの結果は論文としてまとめてある。 3) 2)の研究に引きつづき Kaneiwa-SHiokawa-Tamura型の複素連分数変換の自然拡大に関して研究を行い、その構成の大枠を完成させた。特に、自然拡大の中で現れる双対領域が無限個の互いに非連結な穴を持つことを厳密に証明した。ここで複素連分数展開係数の持つグラフ構造が重要な役割を果たすことが認められた。 4) オランダのデルフト工科大学のCor Kraaikampとのα-N-連分数に関する研究では前年度に書き上げた論文の修正を行い、Monatshefte fur Mathematikからの出版が確定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に続きコロナ感染の拡大により国外研究者との交流の困難が解消されず、国外研究者との共同研究に支障をきたしている。一方で国内共同研究者との研究は比較的順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度には国外研究協力者との共同研究を一刻も早く軌道に乗せたいと計画している。特に、虚二次体に関する Farey グラフの構造に関する研究は中心課題の一つとして研究を強力に推し進めたい。Kaneiwa-Shiokawa-Tamura型複素連分数の自然拡大に関する研究を今年度に引き続き進める。また、国外研究者との連携では国際的なコロナ感染に起因する様々な障害が少なくなった時点で、一時中断されていた虚二次体に関するFarey グラフの構成の研究を再開する。
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Causes of Carryover |
理由:前年度に引き続きコロナウイルス感染拡大の影響で国内外への出張の大幅な制限により主な研究経費となる出張旅費が大幅に繰り越されることとなった。 使用計画:次年度後半には国外出張が可能となる見通しがあるため、その場合フランス、オランダ、オーストリアへの出張を行い共同研究の再開、推進のために使用する予定である。
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Research Products
(4 results)