2023 Fiscal Year Research-status Report
対称空間上のシュレディンガー作用素に対する幾何学的散乱理論
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20K03664
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
貝塚 公一 日本医科大学, 医学部, 講師 (30737549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 対称空間 / スペクトル解析 / シュレディンガー作用素 / ディラック作用素 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、シュレディンガー作用素の平方根に相当するディラック作用素のスペクトル解析を考察した. 非コンパクト型対称空間上のシュレディンガー作用素に対するスペクトル分解定理(プランシュレルの定理)とは異なり, ディラック作用素に対するプランシュレル定理には極小放物型部分群以外の尖形放物型部分群に対応する主系列ユニタリ表現が現れる. 非コンパクト型対称空間上のディラック作用素の尖形放物型部分群に応じたスペクトル解析の理論の構築は, シュレディンガー作用素の各放物型部分群に付随する無限遠境界に応じた幾何学的散乱理論構築の土台となり得るものと考えられる. いくつかの特別な型の対称空間上における, ディラック作用素に対する一様レゾルベント評価と極限吸収原理について, 3つの研究集会で招待講演を行なった. また, 研究集会に参加した際に得られた文献情報をもとに, 前年度に得られたレゾルベント評価をより精密な評価に改良することができた. ディラック作用素に対するスペクトル解析の議論をもとにして, シュレディンガー作用素に対して各放物型部分群に付随する無限遠境界に応じた幾何学的散乱理論について考察した. 対称空間が複素型と呼ばれる特別な型の場合に, レゾルベントの境界値に対して無限遠漸近展開を考察し, 既存の結果として得られていた正則な無限遠境界上の散乱行列を無限遠境界全体に拡張することができた. また, この結果について1つの研究集会で招待講演を行なった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症を理由とした業務変更に対応するため、研究計画の初年度と次年度にやや遅れが生じていたが、その影響が今年度の研究に大きく影響し進捗状況に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究手法のより具体的な方向性と研究のために必要な技術的道具立てが明らかとなりつつある。また、一部の特別な性質を持つ非コンパクト型対称空間では既に結果が得られているため、関連する分野の先行研究の論文を参考にして議論の一般化を目指すことで、研究計画の遅れを取り戻す予定である。
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Causes of Carryover |
研究計画1年目と2年目における新型コロナウイルス感染拡大が研究計画の遂行に影響し, 予算の執行状況にも影響が出ているため, 昨年度に引き続いて次年度使用額が生じている. この繰り越し分については, 本研究課題に関連する研究集会への参加のための旅費として執行し, また, 本研究課題の遂行に関連する数学の専門書の購入のための物品費として次年度に使用する計画である.
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