2021 Fiscal Year Research-status Report
仮似変分発展方程式と特異最適制御問題の新展開と構造解析
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20K03665
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
山崎 教昭 神奈川大学, 工学部, 教授 (90333658)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実函数論 / 関数方程式 / 仮似変分 / 最適制御 / 自由境界 |
Outline of Annual Research Achievements |
Kobayashiらによって提唱された結晶粒界運動を記述する数理モデルは,結晶方位角を表す相関数の係数が結晶配向度を表す相関数(未知関数)に依存しているという仮似変分構造を持っている。そこで,本年度は,仮似変分構造の性質や特徴を理解するため,Kobayashi により提唱された結晶粒界数理モデルに対する最適制御問題を考察した。 まず,空間1次元領域の場合を考察した。実際,Kobayashi--Warren--Carter型の結晶粒界運動を記述する状態方程式系において,結晶方位角に関する特異拡散項を滑らかなもので近似した正則問題の可解性と近似パラメータに関する連続依存性を証明した。次に,これらの理論結果を基礎として,正則化された近似最適制御問題を考察し,近似パラメータに関する半連続的な関連付けを証明した。さらに,正則化された近似最適制御問題の解になるための条件を導出するとともに,近似パラメータを0とすることで,本来のKobayashi により提唱された結晶粒界数理モデルに対する最適制御問題の最適条件の導出に成功した。本研究により,特異拡散項をもつ結晶粒界数理モデルやその最適制御問題に対する近似解析方法を構築することができた。 次に,空間多次元領域においてKobayashi--Warren--Carter型の結晶粒界運動に対する最適制御問題の解析を行った。空間多次元領域の場合,制御空間にある種の制約条件が必要となるが,空間次元が4以下であれば,空間1次元問題と類似した結果を証明することができた。 一方,不可逆相転移問題を応用として取り扱うことができるように,これまでに構築されている仮似変分発展方程式理論を再考した。実際,non-localな仮似変分構造をもつ相転移現象数理モデルに対応する仮似変分発展方程式理論が実ヒルベルト空間で展開できることを確認し,現在,論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な新型コロナウイルス感染拡大などにより,各種の国際会議が中止もしくはオンライン開催となるとともに,海外渡航も非常に厳しい状況となった。このことにより,研究連絡のため共同研究者を訪問し,共同論文を作成するなどの研究活動が低迷した。したがって,現在までの進捗状況としては,やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った研究テーマを継続して行い,さらに精緻な研究成果をめざす。 また,今年度の研究成果や解析方法を踏まえ,Kobayashi--Warren--Carter型の金属粒界問題の最適制御問題の更なる解析に取り組む。 一方,これまで本研究で構築した抽象仮似変分発展方程式論は,不可逆相転移問題や多孔質媒体内における楕円・放物型方程式には応用可能ではない。そこで,それらに対応する新しい抽象仮似変分発展方程式論の定式化と可解性について重点的に取り組みながら,仮似変分構造の性質や特徴についての理解を深める。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染拡大により,対面による各種の国際会議や研究集会が中止となるとともに,海外渡航や国内出張も困難な状況となった。このことにより,研究連絡のため共同研究者を訪問し,共同論文を作成することができなくなったため,次年度使用額が生じた。 使用計画としては,ワクチン接種が進み,少しずつ規制緩和されてきているので,研究連絡のため共同研究者を訪問し共同論文を作成するため,また,各種の最適制御問題に対する数値実験を行うために使用することを予定している。
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Research Products
(6 results)