2020 Fiscal Year Research-status Report
Integration by parts formulas for non-smooth diffusion processes and their applications
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20K03666
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 次郎 立命館大学, 理工学部, 教授 (50309100)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 停止時間 / 拡散過程 / 微分 / 安定過程の最大 / 密度関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
この一年間では主に2つのテーマで研究を行なった。 1.安定過程の最大値の密度関数の評価について:先行研究としてR. A. Doney and M. S. Savov. The asymptotic behavior of densities related to the supremum of a stable process. Ann. Probab., 38(1):316-326, 2010.がある。この論文ではExcursion理論の公式を利用し、Fourier解析のような方法で密度関 数の存在とその漸近的な評価を得ている論文である。Doney-Savovの論文に書いている通りに密度関数の滑らかさについて調べることができるが、これはExcursion理論を利用していることから現実的な解析方法ではないと思われる。我々は、Doney-Savovの解析方法と異なる解析方法を用いて、安定過程の分布とその最大値に関して2次元分布の評価を得た。この方法によりさらに密度関数の性質を詳しく調べられるのではないかと考えられる。この論文は、現在、審査中であり、プレプリントが既にarXiv:2008.01894に掲載済みである。 2. ある領域の境界で停止する拡散過程の初期値についての微分について、Malliavin-Airault-Ren(1999)では、この問題について研究していて、停止時間の1/2次未満の微分の可能性について深く調べている。さらに1/2次の微分が不可能であることも示している。しかし、偏微分方程式論から考えるとDirichlet問題の解は滑らかであるため、この微分不可能性と何か掛橋になる概念が必要である。今年度は停止された拡散過程の 弱い意味での微分可能について結果が得られた。 ただし、ドリフトは0であることを仮定した。現在、この結果の一般化に向けて研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現在のプロジェクトは、Dan Crisan氏(Imperial College)との共同研究として進んでいる部分が多く、コロナ禍に関連する問題で相手国の訪問ができないため、Skype を利用しながら研究を進めているが、やはり時差の問題や本大学からの出張ができないため研究遂行には困難な状況が続いている。このことにより研究の進展がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年は可能であれば共同研究者D. Crisan氏(Imperial College)と対面での議論ができることを期待している。とりあえず、一般の一次元拡散過程に関して議論を行い、その後に多次元の場合の拡張に向けて研究を進める。ドリフトありの一次元拡散過程の場合ではそのドリフトの境界での値により微分の性質が変わる可能性があるため、Girsanovの確率測度変換を利用する予定だが測度変換との境界の関係については詳しく調べる必要がある。一次元では反射過程が微分基礎過程になるが多次元では直交座標では、解析しにくいためmoving frame法を利用すべきだと思われる。各点での接平面が異なるので境界線が拡散過程の動きと共に動いている。ただし、法線成分では一次元と同じ現象が起こっていると想定されるが接線成分では一次元と比較すると異なる挙動をしていると思われる。拡散過程が境界に到着する場合では法線成分を利用して到着するので、接線成分の微分がいきなり0になることが説明できるのではないかと考えられる。 この結論が正しければ連続拡散過程の微分が不連続になるという結論に至る。さらにそのジャンプ時間の構造が反射拡散過程の領域境界に到着する時間と深く関係しているため、1/2-安定確率過程と関係している可能性が高い。これらを明らかにすることができれば、部分積分公式の証明に向けてさらに研究を続ける。この技術には、海流のダイナミクスを説明できる部分も含まれるので,プロジェクトとして大きくなる可能性がある。これらをすすめるため、できれば今年の後半か来年度中にイギリスに訪問する予定である。 安定確率過程の最大値に関連したテーマとして保険数学でよく使われているジャンプ過程に関して倒産確率というリスクを表す量がある。この量に関していろんな近似方法が推奨されている中でその近似方法を数学的に評価することを考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍関係で旅費に関して過年度に使うことができなかった予算を、今年度の後半や来年度に利用する見込みである。
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