2021 Fiscal Year Research-status Report
Nonrelativistic limit for the nonlinear Dirac equation
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20K03671
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
町原 秀二 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20346373)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 球面調和関数 / ハーディの不等式 |
Outline of Annual Research Achievements |
数学研究、その中の解析学の研究として、種々の関数不等式の研究がある。それぞれの不等式に対して攻略法はあるが、ハーディの不等式やレリッヒの不等式へのアプローチ方法として球面調和関数を用いた研究がある。 そもそも球面調和関数自体が深い理論を有する数学的研究対象であることを、ここでは少し説明する。球面調和関数は数学のみならず、物理学や工学などさまざまな分野に現れ、その具体例として空間内の単位球面が3次元回転群の表現論とともに記述される。またこの場合は水素原子などの球対称ポテンシャルをもったシュレディンガー方程式の解法にも用いられる。そしてさらに一般次元のものは、より一般的な理論や他の理論の解析的道具として扱われる。 この球面調和関数の理論をこれまで私は応用・援用する形でハーディの不等式等を研究してきた。しかし今回はこの球面調和関数の研究の深部まで探求することにした。そこでは球面調和多項式と呼ばれる代数的対象があり、解析学を中心に研究してきた研究者としては新鮮な刺激があり、非常に今後の研究に役立つ手応えを得ることができた。例えば代数学的に語った一つの顕著な成果は「すべての多項式は、それぞれに対して調和多項式が存在し、定義域を単位球面上に制限することにより二つは一致する」である。そしてまた「異なる次数の斉次調和多項式は単位球面上の二乗可積分内積において直交する」ことは解析的考察であるが、証明を全て確認した。 これらを纏めた形で、令和3年12月7日にRIMS(京都大学数理解析研究所)における国際研究集会「量子場の数理とその周辺」にて招待講演を行った。講演タイトルは「Spherical harmonics and Hardy's inequalities」である。現在論文に纏めるまで至っていないが、この研究集会の報告集を先に執筆することになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハーディの不等式に関する研究は概ね順調に進んでいる。そして今後はレリッヒの不等式の解析に挑むがその下準備は整っているという感触を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
レリッヒの不等式の研究において、空間2次元において特別な状況になることが、その構造まで含めて明らかになってきた。球面調和分解による射影空間での意味づけを目論んでいる。もし肯定的に解決できれば、調和解析や偏微分方程式の分野にも多大なる影響を及ぼすと期待している。
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Causes of Carryover |
コロナで出張ができなかった。 次年度(令和4年度)は少しずつ対面での研究集会も増えており、そこに積極的に参加し、旅費を消費する。
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Research Products
(1 results)