2022 Fiscal Year Annual Research Report
Nonrelativistic limit for the nonlinear Dirac equation
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20K03671
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
町原 秀二 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20346373)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 消散型非線形波動方程式 / 非線形熱方程式 / non-delay limit |
Outline of Annual Research Achievements |
戍亥隆恭氏との共同研究で主要部に消散項をもつ非線形波動方程式の解の特異極限の問題を解決した。具体的には消散項をもつ非線形波動方程式の解が対応する非線形熱方程式の解に収束する現象を数学的に示したもので、方程式同士の極限移行から想像するものとは遥かに難易度の高い問題であることに注意する。この問題は非線形クライン・ゴルドン方程式の解が非線形シュレディンガー方程式の解に収束する、所謂、非相対論的極限の問題に類似するもので、そこで行われた周波数分離による解の関数空間の設定が、今回も鍵となった。 今回の極限を non-delay limit(遅延型極限)と呼ぶことにし、波動方程式とは偏微分方程式としても型の異なる放物型の熱方程式が極限対象となっているため事態は複雑である。その一つが非相対論的極限のときに重要な道具となったストリッカーツ評価が、型の異なる方程式に対しそれぞれで繊細な受け渡しを行う必要があり、計算量も膨大なものとなった。得られた結果は具体的に記すと、非線形波動方程式の解が非線形熱方程式の解にソボレフ空間H1の位相で収束することを示した。これは初期値および解の存在する空間と同一のものであり、考え得る最良の結果といえる。また位相を少し譲りルベーグ空間L2(=ソボレフH0)で、収束をオーダー付きで求めた。また恐らくこのオーダーが最良であろうという考察も行われている。さらに、もし非線形熱方程式の解が時間大域的に存在し、そしてゼロへ収束するという仮定の下で、non-delay limit を時間一様な収束を与えることにも成功した。本結果は「Non-delay limit in the energy space from the nonlinear damped wave equation to the nonlinear heat equation」として数学専門雑誌にて出版された。
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Research Products
(4 results)