2020 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic analysis of nonlinear dispersive equations with critical nonlinearities
Project/Area Number |
20K03680
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 仲夫 東北大学, 数理科学連携研究センター, 特任教授 (30173016)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 臨界べき非線形項 / 解の漸近的振る舞い / 非斉次境界値問題 / 散乱問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.臨界べき非線形項を持った2次元シュレディンガー方程式の非斉次Dirichlet境界値問題を半空間で考察し、境界条件が摂動と考えられる条件のもと解の漸近的振る舞いを明らかにした。この結果はKyushu J. Math., (2), 74 (2020), August, 375-400,に掲載されている。 2. 1次元、非線形4次シュレディンガー方程式の研究を行い、非線形項の階数が5を超えているとき散乱作用素の存在を証明した。非線形項の階数が5の場合は散乱作用素の非存在がわかっているのでこの結果は散乱問題の立場から最良の結果と思われる。この結果はHokkaido Math. J. 50 (2021), 91-109に掲載されている。 3. 2次元、非線形2次ー4次シュレディンガー方程式の研究を行い、非線形項の階数が臨界べき、すなわち2次のとき解の漸近的振る舞いを明らかにした。この結果はTohoku Math. J. (2) 72 (2020), no. 1, 15-37に掲載されている。 4. 1次元、非線形a次シュレディンガー方程式の研究を行い、aが1<a<3/2、非線形項の階数が臨界べき、すなわち3次のとき解の漸近的振る舞いを明らかにした。この結果はAdv. Differential Equations 25 (2020), no. 1-2, 31-80. に掲載されている。 5. 1次元非線形シュレディンガー方程式の非斉次Dirichlet境界値問題を半直線において考察し、解の存在及び時間減衰評価を示した。従来の初期値、境界値にたいして大きさの条件を必要としていたが、この条件を取り除いた。この結果はNonlinear Differ. Equ. Appl. 27, 17 (2020).において公表されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形シュレディンガー方程式の非斉次Dirichlet境界値問題を考察し、空間次元が1次元あるいは2次元の場合に、境界条件が摂動と考えられる条件のもと解の漸近的振る舞いを明らかにした。これらの結果は2つの論文とし公表されている。一つは2次元の場合に臨界べき非線形項を扱ったものである。さらにもう一つでは、1次元の場合、初期値境界値に関する大きさの条件を擬保存料を用いて取り除いた。また臨界べき非線形項を持った、高階、分数べき階数、非線形シュレディンガー方程式の初期値問題に関しては解の漸近的振る舞いを明らかにした。分数べき非線形シュレディンガー方程式においては解の振る舞いが線形問題の解の振る舞いとは異なることを証明することに成功した。また4階非線形シュレディンガー方程式に関しては散乱問題の立場から臨界べきを超える非線形項に対して、散乱作用素の存在を示した。これらの結果は2つの論文としてすでに国際誌に掲載されている。発展作用素を生成する微分作用素が非斉次の場合は従来用いられた作用素の因数分解公式が応用できない。我々は従来の方法を発展させ、2次ー4次臨界べき非線形シュレディンガー方程式に対して解の漸近形を明らかにした。このように臨界べき非線形問題の漸近解析、及び初期値境界値問題の研究に関して順調に計画は進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
初期値境界値問題の研究を高次元空間に拡張する。具体的には上半平面の問題を考える。この場合臨界べき非線形項は滑らかでなくなり、問題を難しくする。我々は方程式固有の作用素と発展作用素の時空間評価を用いて、階数の低いソボレフ空間で問題を考えることを試みる。微分作用素が境界に影響を与えるため、発展作用素と微分作用素との交換関係が初期値問題のようにいはいかない。この点を考慮にいれながら研究することが必要となる。 臨界べき非線形項を持った分散型方程式の漸近解析を敷地問題において発展させる。発展作用素を生成する微分作用素が非局所的作用素(微分作用素は局所的)あるいは空間変数に関して非対称であるものが応用上現れることが多い。我々はこの場合に従来の因数分解公式(発展作用素を拡張作用素、かけ算作用素、フーリエ変換に分解)を発展させ問題の解決を試みる。ラプラス作用素が生成する発展作用素の場合、かけ算作用素が指数関数を用いて表示される一方、我々の場合は明確な表示が望めない。そこで、主要項を安定位相法を用いて求め、剰余項を擬微分作用素の有界性定理を用いて評価することを考える。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、研究会の中止、Zoomによるリモート会議への変更等が次年度使用額となっている。今年度はCOVID-19の状況の推移を見ながら、研究会の開催、研究会への出席(対面による研究会、リモートによる研究会)、リモート研究会に用いる設備の拡充、を通し研究計画の遂行に必要な研究を行う。共同研究においてもonlineで研究打ち合わせを行い、研究成果を幅広く発信するために、発表論文を自由に閲覧できるようにする。
|
Research Products
(8 results)