2021 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic analysis of nonlinear dispersive equations with critical nonlinearities
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20K03680
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 仲夫 東北大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (30173016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 臨界べき非線形項 / 解の漸近的振る舞い / 非斉次境界値問題 / 散乱問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 臨界冪非線形項を持った、非局所的な非線形シュレディンガー方程式の初期値問題の研究を行い、大域解の存在及び解の漸近的振る舞いを求めた。この結果は Z. Angew. Math. Phys. (2022) 73:2 に掲載されている。 2. 冪乗型非線形項を持った、非線形シュレディンガー方程式の非斉次Dirichlet初期値境界値問題を一般次元で考察し、時間大域解の存在を示した。この結果はCazenave-Weisslerによって初期値問題で得られた結果を含むものとなっている。この結果は SN Partial Differential Equations and Applications, Published online に掲載されている。 3. 冪乗型非線形項を持った、非線形シュレディンガー方程式の非斉次Neumann初期値境界値問題を一般次元で考察し、時間大域解の存在を示した。この結果は Differential and Integral Equations, 34(2021), 641-674 に掲載されている。 4. 空間2次元において、2次の非線形項を持った異方性シュレディンガー方程式を研究し、時間大域解の存在を示した。また2次の非線形項は臨界冪非線形項であり適当な位相の修正が求められる。我々は位相の修正を求め、修正散乱状態の存在を示した。この結果は J. Math. Phys. 62, 071502 (2021) に掲載されている。 5. 臨界冪非線形項を持っ高階シュレディンガー方程式を研究を行い修正散乱が起こることを示し、各点における解の漸近的振る舞いを明らかにした。この結果は J. Evolution Equations, online 2021, June 7th に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非線形シュレディンガー方程式の非斉次初期値境界値問題を一般次元で考察し、時間大域解の存在が成立するために境界が満たすべき条件を与えることに成功した。非線形項の階数がL^2臨界より低いときには従来得られていなかった結果である。初期値問題において用いられた方程式固有の作用素を用いることによって生じる問題を処理することが重要である。これらの結果は2つの論文として国際誌に掲載されている。異方性を持ったシュレディンガー方程式、主要部に非局所的な項を持ったシュレディンガー方程式、高階のシュレディンガー方程式を研究し、臨界冪非線形項が解の振る舞いにどのような影響を与えるかを明確にした。これらの結果を得るために、線形の解を与える発展作用素の因数分解公式を利用した。因数分解公式により、解を主要部と剰余項に分解する。このとき、剰余項が、解空間において剰余項として評価できるかが証明の鍵となる。我々は擬微分作用素の有界性定理を有効に用いることによってこの事実を証明した。これらの結果は3つの論文として国際誌に掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
非線形シュレディンガー方程式の非斉次初期値境界値問題で得られた評価を発展させ、非線形境界値問題を考察する。非線形境界値問題の研究に関したは充分な文献が無いのが現状である。我々は1次元非線形Neumann境界値問題を考え、解の存在をより広い関数空間で考察することを考える。また時間大域化の存在に関しての条件を研究対象とする。この問題に付随して非線形熱方程式の非斉次初期値境界値問題を考察し、類似点と相違点に関する研究を行う。臨界べき非線形分散型波動の研究を継続して行う。特に分数冪非線形シュレディンガー方程式を研究対象とする。分数冪の階数を a とすると通常のシュレディンガー方程式は a=2となる。我々はすでに a=1/2 に関する研究成果を発表している。階数が低い場合は解の微分喪失(解のクラスが初期値のクラスより滑らかでない)を利用することにより結果が得られる。このことは多くの研究者により指摘されてきたことである。しかし a が 2 に近いときはこの事実が使えない。そこで新しい解の評価を考えることが必要であるとの認識の基研究を行う。
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Causes of Carryover |
COVID-19 の影響により、学会、研究会の対面での開催が中止、Zoom によるリモート会議への変更が次年度使用額となっている。昨年度の使用額に関しては、研究成果の発信を積極的に行うため、オープンアクセスによる成果の発表を行った。旅費の部分をこれに当てた。今年度もCOVID-19により、研究会における成果の発表、研究打ち合わせが充分に行えない場合はリモート会議への変更、オープンアクセスによる成果の公表を考える。
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