2022 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic analysis of nonlinear dispersive equations with critical nonlinearities
Project/Area Number |
20K03680
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 仲夫 東北大学, 理学研究科, 特任教授 (30173016)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 臨界べき非線形項 / 解の漸近的振る舞い / 非線形境界値問題 / 散乱問題 / 自己相似解 |
Outline of Annual Research Achievements |
非線形熱方程式を非線形境界条件下で研究し、解の漸近的振る舞い及び解の有限時間爆発について明らかにした。分数冪非線形シュレディンガー方程式の初期値問題の研究を分数冪が3/2と2の間にあるとき行い、修正散乱現象が起こることを示した。この事実は3次の非線形項が臨界冪であることを示している。分数冪非線形シュレディンガー方程式の初期値問題の研究を分数冪が2と5/2の間にあり非線形項が反発項として働くときの研究を行い、解の漸近的振る舞いが通常の非線形シュレディンガー方程式の解の振る舞いと異なることを示した。上述の結果と合わせると分数冪の階数が2を一つの臨界値となっていることを示している。2次の非線形項を持つ非線形シュレディンガー方程式の周期問題を研究し、初期値が周期条件を満たし小さいとき、解の時間減衰評価を明確にした。分数冪 modified Korteweg-de Vries方程式の解の振る舞いについて、分数冪の階数が2と4にあるとき研究を行い、初期条件が零質量条件を満たし小さいとき、解の漸近公式を示した。階数が3のときが古典的なmodified Korteweg-de Vries方程式と呼ばれるものである。Hartree typeの非線形項を持つ非局所シュレディンガー方程式の初期値問題の研究を一次元空間で行い、従来の研究で用いられた発展作用素の因数分解公式が、修正を加えることによりより一般の問題に対しても援用できることを示した。一次元シュレディンガー方程式の非線形 Neumann境界値問題の研究の研究を行い、冪乗型非線形項の階数が2を超えるとき、スケール不変な空間において時間大域解の存在を示した。また階数が1と2の間にあるとき小さい解が有限時間爆発することを示した。この事実は2次の非線形項が臨界指数であることを示している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
一次元非線形熱方程式の非線形 Neumann境界値問題の研究の研究を行い、時間大域解の存在と有限時間爆発を示した。これは初期値問題の境界値問題への自然な拡張となっている。方程式を零質量問題へ変換することが大域解の存在を示すことにおいて重要である。この結果は論文として国際誌に掲載されている。一次元シュレディンガー方程式の非線形 Neumann境界値問題の研究の研究を行い、2次の非線形項が臨界指数であることを示した。またスケール不変な空間が時間大域解を求めるとき有効であることを明らかにした。 この事実を示すためにシュレディンガー方程式の解に関する時空間評価を再考し新しい関数空間を導入した。この結果は論文として国際誌に掲載されている。分数冪非線形シュレディンガー方程式、分数冪modified Korteweg-de Vries方程式の初期値問題の研究を行い解の振る舞いを明らかにした。特に分数冪非線形シュレディンガー方程式に関しては分数冪の階数2が臨界指数の一つになることを示した。分数冪が2以下のときは、3次の非線形項が臨界指数となり修正散乱現象を起こすことを証明した。分数冪が2を超えるときには、非線形項の階数が分数冪の階数に1を加えた階数が臨界指数となり、解の時間減衰が線形解のそれよりも早くなることを明らかにした。これらの事実は解の平滑化効果に由来するものである。これらの結果は論文として国際誌に掲載されている。この様に臨界指数と解の振る舞いを期待以上の範囲で示すことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
一次元シュレディンガー方程式の非線形 Neumann境界値問題の研究を継続して行い、有限時間爆発と初期値の無限遠方減衰度、非線形項の階数との関係を明らかにする。また外部非線形項が存在する場合に、有限時間爆発の問題、スケール不変な空間で問題を考える研究を発展させる。これらの問題に関して、2乗可積分な空間で得られた成果は論文として投稿中である。この結果を多次元の場合に拡張することを今年度の研究課題とする。初期値問題の研究において用いられた因数分解公式の境界値問題における有効性を再考する。 分数冪非線形シュレディンガー方程式のなかで、質量保存を保つ発散形式の非線形項を持つ方程式を考察する。代表的な方程式としてはBenjamin-Ono方程式、modified Korteweg-de Vries方程式が挙げられる。また熱方程式の例としてはBurgers方程式がある。Burgers方程式の研究から、解は自己相似解の回りで安定であることが予想される。自己相似解の存在を示すために非線形項の階数は分数冪シュレディンガー方程式の階数と同じとする海海外共同研究との共同研究により分数冪の階数が4のときに予想を解決した。この研究を分数冪の階数が一般の場合に拡張する。そのために因数分解公式の解空間における有効性を考察する。
|
Causes of Carryover |
COVID-19 の影響はまだあるが、国内における学会、研究会の対面での開催が緩和され、研究会における成果の発表、研究打ち合わせを行うことができた。しかし外国との交流は充分回復したとは言えない現状である。今年度もCOVID-19の影響を考慮し、国内、国外との交流を行い、成果の発信、研究打ち合わせのための旅費、研究課題の達成に必要な図書の購入に研究費を使用する。
|
Research Products
(14 results)