2021 Fiscal Year Research-status Report
非線形放物型偏微分方程式における定常構造および自己相似性と解の挙動
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20K03685
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内藤 雄基 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10231458)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋詰 雅斗 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 助教 (20836712)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非線形解析 / 非線形熱方程式 / 特異定常解 / 走化性方程式系 / 有限時刻爆発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、非線形放物型方程式に対して、解の挙動と定常問題の解構造および自己相似性との関連性について考察を行う。とくに Sobolev 優臨界、Sobolev 臨界および優臨界走化性方程式系において、特異定常解および自己相似解の構造を明らかにするとともに放物型方程式の解の振る舞いに及ぼす影響を考察する。 今年度は、空間高次元における放物-楕円型走化性方程式系の初期値問題の解の挙動について考察を行った。とくに方程式系の定常解を用いることにより、解が時間大域的に存在するための条件および有限時刻爆発するための条件を導いた。定常解が1パラメータの族として表されること、この定常解が時間大域存在と有限時刻爆発の境目になっていることを示すことができた。さらに、この定常解が指数非線形項をもつ非線形楕円型方程式の解を用いて表現できることから、空間10次元以上においては、Biler, Karch 等による Morrey 空間におけるノルム評価を用いた解の時間大域存在のための十分条件が最適であることを示すことができた。一方、空間3次元以上9次元以下では、既存の評価が最適ではなく改善の余地があることを示すことができた。証明は、解の体積平均による変換により走化性方程式系をスカラー方程式に帰着することにより行った。この変換によるスカラー方程式は、方程式系と空間次元が異なるという性質があるとともに、2つ以上の特異解をもつという特徴がある。この方程式に対する非有界領域における比較定理を示すとともに、スカラー方程式の特異定常解に対するある種の Liouville 型定理を示すことにより、時間大域存在および有限時刻爆発のための条件を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
空間高次元における走化性方程式系の初期値問題の解の時間大域存在および有限時刻爆発のための条件を得ることができるとともに、定常問題の解構造、特異解の性質を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き優 Sobolev 臨界における非線形楕円型偏微分方程式の特異解の定性的性質を明らかにするとともに、関連する放物型偏微分方程式、走化性非線形系の解の性質についても研究を進めたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響により予定していた研究集会への参加および研究打ち合わせが、すべてキャンセルとなったため、今年度の旅費に未使用額が生じた。それらは、次年度における研究集会参加および研究打ち合わせの経費に充てることにした。
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Research Products
(5 results)