2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03687
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉川 周二 大分大学, 理工学部, 教授 (80435461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄木 景二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70281194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 固体材料 / 構造保存型数値解法 / 誤差評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は以下の研究を行った。 1. 力学的境界条件の下での非線形波動方程式について、若杉勇太氏(広島大)と梅田晃裕氏(愛媛大)との共同で研究した。ここでの力学的境界条件とは境界条件自体が時間発展する微分方程式になるような境界条件を指す。力学的境界条件は薄膜でコーティングした材料の挙動を調べることなどへの応用が期待される。力学的境界条件の下での非線形偏微分方程式のこれまでの研究は主に放物型方程式や楕円型方程式に対するものがほとんどで双曲型方程式に対する数学解析の結果は見当たらなかった。一方で応用分野では圧電スタックアクチュエーターのモデルとして力学的境界条件の下での波動方程式がMeurer-Kugi(2011)によって提案されている。このモデルをより一般化した非線形問題に対して構造保存型の差分解法を導出し、その方程式の一意的な解の存在と誤差評価を示した。 2. 速度上昇に伴い減衰力が低下するオイルダンパーに関する研究を渡邉大氏(芝浦工大)と共同で行った。渡邉-岡村(2014)では、ダンパー内のオイルの流路を動的にコントロールすることで、速度上昇に伴い減衰力が低下するオイルダンパーが提案され、モデリングとその数値シミュレーションがなされている。そこで提案されたモデルは線形近似された常微分方程式で表現されるが、より精密に現象を記述するには2次増大型の非線形項を含む常微分方程式を考える方が自然である。この方程式の非線形項は原点では微分可能ではないため、ルンゲ-クッタ法などの解法は効果的でない。そこでこの常微分方程式の数値解法について構造保存型差分解法の観点からの考察を与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で、令和元年度に期間満了予定であった別の研究課題の延長申請したため令和2年度は2つの研究課題を並行して実施することになった。また計画していた出張が全て中止になったことで予算執行計画も大きな変更を余儀なくされた。 一方で、オンライン化により様々な研究集会に気軽に参加することができるようになり、通常時では実現が困難な研究打ち合わせなども可能になった。そのような中で新たな方向性を示唆するダンパーの研究など当初は予定していない成果にも繋がった。 以上より、総合的には「やや遅れている」という判断を与えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を加速化させる目的で申請していた国際共同研究加速基金に新たに採択された。感染拡大状況に落ち着きが見られればではあるが、この基金を利用し令和4年度に国際共同研究のため欧州に滞在することを計画している。その滞在で本研究課題のより一層の推進を図る。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルスの影響で、以下の2つの計画が変更となったため次年度使用額が生じた。1つは計画していた出張が全て中止になったこと、またもう1つは令和元年度に期間満了予定であった別の研究課題の期間延長をしたため令和2年度は2つの研究課題を並行して実施したことである。 使用計画:新型コロナウイルスの感染状況は流動的で先が見通せない。感染拡大状況に応じて計画を随時調整するなど柔軟に対応をしたい。
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Research Products
(6 results)