2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K03687
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
吉川 周二 大分大学, 理工学部, 教授 (80435461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黄木 景二 愛媛大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (70281194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 構造保存型数値解法 / 誤差評価 / 非線形偏微分方程式 / 固体材料 / 塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は以下の研究を行った。 熱粘弾塑性変形の方程式について構造保存型差分解法の観点から調べた。塑性とは変形後に除荷しても形状が復元せず変形を残す性質のことである。熱粘弾塑性方程式は粘性を含む固体の弾塑性変形に熱伝導の影響まで考慮した変位と温度を未知関数とする連立偏微分方程式である。弾塑性には、完全弾塑性を停止作用素と呼ばれるヒステリシス作用素で表現したモデルを考える。よく知られているヒステリシス作用素のPrandtl-Ishlinskii作用素は停止作用素の重ね合わせの一種とみなせるため、ここで考えた問題は、Krejci-Sprekels(1998)により考察された熱粘弾塑性方程式を簡略化したモデルに対応している。この問題についてまずエネルギー保存・エントロピー増大・モーメント保存の三つの構造が継承される構造保存型差分解法を構成した。さらに、温度が空間変数について一様分布であるという仮定の下で、その解の存在および誤差評価を構造保存型差分解法に対するエネルギー法で証明した。塑性は変形(ひずみ)と応力の関係が一価の関数では表せないため取り扱いに注意が必要である。問題となるのは連続の場合と異なり時間について離散化すると停止作用素のいくつかの性質が損なわれることである。上記の結果を得るために必要な停止作用素の評価の離散版を示すことで、この問題に対しても、形状記憶合金の熱弾性に関する結果と同様に構造保存型数値解法のエネルギー法が適用可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度と同様、新型コロナウイルスの影響で計画していた出張のほとんどが中止になり計画の変更が生じた一方で、国際共同研究加速基金による滞在を視野にいれた研究準備は進めることができた。以上より、総合的に判断して「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題を進展させる目的で採択された国際共同研究加速基金を利用し、令和4年度に国際共同研究のため欧州に滞在することを計画している。その機会を利用することで本研究課題のより一層の推進を図る。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルスの影響で、計画していた出張のほとんどが中止になったため、次年度使用額が生じた。 使用計画:新型コロナウイルス感染症の感染状況や社会情勢の改善・悪化に応じて対応は異なるが、基本的には繰り越し対応による研究期間の延長を視野に入れ本研究を推進するための諸経費に使用する計画である。
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