2021 Fiscal Year Research-status Report
To global analysis for solutions of nonlinear partial differential equations tems
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20K03699
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西田 孝明 京都大学, 情報学研究科, 名誉教授 (70026110)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非線形偏微分方程式 / 大域的解析 / 流体運動方程式系 / 熱対流問題 / 計算機援用解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
非圧縮性粘性流体方程式の定常解を求めるために、その非圧縮性条件の持つ困難を避けるために、弱圧縮性近似をする Chorin の方法があり、Navier-Stokes 方程式や Rayleigh-Benard 熱対流問題については、その定常解と定常分岐の場合について、その正当性を証明してきた。この近似は、定式化の仕方からして定常解に限られると思われていたのである。しかしながら、塩熱対流問題の分岐においては、平衡解からの最初の分岐にも Hopf 分岐(周期解分岐)が現れる場合がある。その場合についても、弱圧縮性近似が成り立つことの解析的な証明を行なった。
水平に置かれた流体を下から温める Rayleigh-Benard 熱対流において、Prandtl 数を固定して、Rayleigh 数(上下の温度差)を分岐パラメーターとして、解の大域的な分岐構造を計算機援用解析した。平衡解である熱伝導解は、臨界 Rayleigh 数を越えると、ロール型あるいは六角形型の定常解へ分岐することまでは、解析的に示されていた。それ以上の解析は、計算機援用が必要になる。そこからロール型の解が安定に存在するが、更に Rayleigh 数が上がる(下からの温度を上げる)と、ロール型の解は、Hopf 分岐を起こして、周期的に変化するロール型の解に変わる。更に Rayleigh 数が上がると周期倍分岐を起こし、周期4倍分岐を起こして、徐々に周期がずれて、chaotic な振舞に至るという経路を見出し、論文にまとめた。こうして非線形偏微分方程式の場合にも chaos に至る経路に周期倍分岐のシナリオがある事を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出張して直接の研究連絡、共同研究ができないために、少し予定通りでない。 非圧縮性粘性流体方程式の定常解、定常分岐のみならず周期解の分岐に対しても、弱圧縮性近似が成り立つことを示せた。 Rayleigh-Benard 対流の二次元問題のロール型の解について、定常解から周期解を経て周期倍分岐を起こして、 chaotic な挙動に至る路を計算機援用解析として見出した。 共に、Journal Mathematical Fluid Mechanics に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に沿って、解析的な研究をも進める。 熱対流問題で、熱の供給が一様で無い場合も現象の説明のために解析する必要があり、 取組み始めた。
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Causes of Carryover |
コロナヴィルスによる感染症の流行のために、出張の形の研究連絡、研究会発表が全てできなかった為。 国内国外込めて研究連絡、研究発表を行いたい。計算機関係の設備の充実にも振替えたい。
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