2020 Fiscal Year Research-status Report
Traveling fronts whose cross sections are convex shapes with major axes and minor axes in balanced bistable reaction-diffusion equations
Project/Area Number |
20K03702
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
谷口 雅治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (30260623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 広和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90251610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 進行波 / 軸非対称 / 等エネルギー / Allen--Cahn方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題である「等エネルギー型反応拡散方程式における長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」について,交付申請書「研究の目的」と「研究実施計画」にもとづき,谷口雅治(岡山大学,研究代表者)と二宮広和明治大学教授(研究分担者)が研究遂行中である。現在の研究実績の概要を以下にのべる。反応拡散方程式が等エネルギー型(balanced)である場合には進行波は進行軸にたいし対称なもののみが知られていた(Chen-Guo-Hamel-Ninomiya-Roquejoffre2007)。これに対して進行軸にたいし軸対称でない進行波が存在するか否かはながく未解決問題となっていた。この未解決問題にたいして肯定的な答えを出すことが本研究の目的である。手法としては,反応項が等エネルギーでない(imbalanced型)反応拡散方程式における角錐型進行波(Taniguchi 2007, Kurokawa-Taniguchi 2011)を考え,反応項を等エネルギー型に近づける(balanced limit)ときに,角錐型進行波の極限として「長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」が得られることを示す。このためには,四角錐型進行波の切断面である長方形のアスペクト比を一定に保ったままで balanced limit をとり,その極限形として「長軸と短軸をもつ凸図形」を切断面としてもつ進行波が得られることを証明する必要がある。このシナリオを遂行した最初の結果を Taniguchi (ANIHPC-D2019, DCDS-A2020)として公表した。また,反応拡散方程式における進行波の最新の理論を紹介するため2021年5月に日本数学会メモワールシリーズの39巻として "Traveling Front Solutions in Reaction-Diffusion Equations"が出版される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
Allen--Cahn方程式(balanced型)など,等エネルギー型反応拡散方程式において「長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」の存在を証明することが本研究の目的である。等エネルギーでない反応項をもつ反応拡散方程式において角錐型進行波を考え,反応項を等エネルギー型に近づける(balanced limit)ときに,この進行波の極限として「長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」が得られることを示すのが本研究の研究計画である。このためには,四角錐型進行波の切断面である長方形のアスペクト比を一定に保ったままで balanced limit をとる必要があるので,角錐型進行波をふくむ一般の多次元進行波の「遷移層の厚さ」に関する上からの評価を与える必要がある。このシナリオを遂行した最初の結果を Taniguchi (ANIHPC-D2019, DCDS-A 2020)として公表した。これは等エネルギー型反応拡散方程式が進行軸にたいして非対称な形状の進行波をもつことを示した始めての結果である。また,2021年5月に日本数学会メモワールシリーズの39巻として "Traveling Front Solutions in Reaction-Diffusion Equations"(M. Taniguchi)が出版される。なお本研究課題に関連して,研究分担者の二宮広和明治大学教授は2020年度日本数学会解析学賞を受賞した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題である「等エネルギー型反応拡散方程式における長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」について,今後の研究の推進方策を述べる。反応拡散方程式が等エネルギー型である場合に,進行軸にたいし軸対称でない進行波が存在するか否かは未解決問題となっていた。この未解決問題にたいして肯定的な答えを出すことが本研究の目的である。手法としては,反応項が等エネルギーでない反応拡散方程式における角錐型進行波(Taniguchi 2007, Kurokawa-Taniguchi 2011)を考え,反応項を等エネルギー型に近づける(balanced limit)ときに,角錐型進行波の極限として「長軸と短軸をもつ凸図形を切断面とする進行波」が得られることを示す。すなわち,四角錐型進行波の切断面である長方形のアスペクト比を一定に保ったままで balanced limit をとる。このためには,角錐型進行波をふくむ一般の多次元進行波の「遷移層の厚さ」に関する上からの評価を与える必要がある。このシナリオを遂行した最初の結果を Taniguchi (ANIHPC-D2019, DCDS-A 2020)として公表した。また,反応拡散方程式における進行波の最新の理論を紹介するため2021年5月に日本数学会メモワールシリーズの39巻として "Traveling Front Solutions in Reaction-Diffusion Equations"が出版される。この研究を更に推進するために,「研究実施計画」にもとづき,Wei-Ming Ni教授(CUHK),Yihong Du教授(New England大)などの研究者とディスカッションする必要がある。また新型コロナウイルス感染症対策のため,海外渡航を行うことが困難な状況であるが,状況が改善され次第,国内外の研究集会に参加を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2020年6月に米国アトランタで開催予定であった研究集会"The 13th AIMS Conference on Dynamical Systems,Differential Equations and Applications"が延期になったため,2021年度に使用するために繰越を行った。
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Research Products
(3 results)