2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K03703
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
小野寺 栄治 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 准教授 (70532357)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 分散型偏微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマン多様体からケーラー多様体への写像流がみたすある4階非線型分散型偏微分方程式の初期値問題に対する解法研究に取り組んだ。この偏微分方程式はBi-Schroedinger flow方程式とも呼ばれており、古典スピン系の連続極限や渦糸運動との関連で導出される実2次元球面値曲線流がみたすある偏微分方程式系の幾何学的一般化という面も有している。特に、写像流の定義域が1次元トーラス(すなわち閉曲線流の場合)で、像空間がコンパクト局所エルミート対称空間である場合を考察した。この設定下では、ある高次ソボレフ空間の枠組みで時間局所解が存在することが先行研究により明らかになっていた。(偏微分方程式が誘導束の断面の等式として記述されるため、像空間の局所エルミート対称性の使い方は明瞭であった。)本研究では、この解の一意性の証明を試みた。像空間の高次元ユークリッド空間への等長埋め込みを用いて二つの解の差をベクトル値関数として定義し、それがみたす偏微分方程式系の構造を解析することにより、解の一意性がしたがうことを証明した。局所エルミート対称性をユークリッド空間の部分多様体としての枠組で利用するための幾つかの関係式を作ったことが証明の主要なアイデアである。これらは他の高階偏微分方程式で記述される曲線流や写像流の解析においてもある程度有用であると期待される。得られた結果については、論文(プレプリント)としてまとめ、査読付き学術雑誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最優先で解決したかった問題を解決することができた。また、それによって派生した問題に対しても着手できている。可能であれば着手したい問題が他にもあったが、そこまでには至らなかった。これらを踏まえて判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね当初計画に沿って進めることを考えているが、本年度の研究に派生して新たに見つかった課題についても可能であれば進めたい。これらを同時並行できるに越したことはないが、自身の実力を考慮するとそれほど甘くないと思うので、関連研究の進捗状況や確保できそうな研究時間などを考慮しながら着手する優先順位を判断して進めたい。
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Causes of Carryover |
3月は他の時期に比べて研究に集中できる貴重な時期であり、その期間に文房具などの消耗品の必要性が突発的に生じることが想定されたため、それに対応できるための予算を一部確保していた。生じた次年度使用額はその結果としての残額である。この残額については、次年度の比較的早い段階で使用することになると見込んでいる。
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