2020 Fiscal Year Research-status Report
代数学を用いた暗号、符号、擬似乱数のための離散数学研究
Project/Area Number |
20K03713
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
萩田 真理子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70338218)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | グラフ彩色 / 印象評価 / 暗号 / 誤り訂正符号系列 |
Outline of Annual Research Achievements |
相互に関係の深い、以下の3種類の研究を行った。 テーマ1.「暗号と擬似乱数アルゴリズムの開発と評価」 AESのSボックス変換を置換としてサイクル分解してみたところ、長さ2のサイクルが見つかり、73と8Fという元が互いに移り合うことがわかった。そのような偏りと暗号の強度との関係を調べてみたが、乱数性の観点からはただちに評価が悪くなるとは言えなかった。様々なペアについて同様の評価を行ったことにより、サイクル分解とは無関係であるがこれまで用いていた方法よりも一ラウンド多く棄却する手法がみつかった。 テーマ2.「グラフの彩色アルゴリズム、分散彩色アルゴリズムの評価、及びその擬似乱数の配置問題、印象評価への応用」 シミュレーションでは、近くで起こる現象を決定するところに同じ関数で生成された擬似乱数を用いると偏ったデータが出てしまうことがある。この問題は、擬似乱数を割り当てる場所を頂点とし、相関の大きな2点を隣接させたグラフの分散彩色を求めれば解決できる。グラフの分散彩色問題は、与えられた色数でグラフの頂点を同色の異なる二点の距離の最小値が大きくなるように彩色する問題で、これまでの研究で、シミュレーションに現れることの多い格子グラフの分散彩色の存在範囲を決定し、その他のグラフについても効率よく彩色するいくつかのアルゴリズムのアイデアを提案していた。分散彩色研究はデータサイエンス分野で行われている印象評価研究にも応用できることがわかってきたため、グラフ彩色研究の効果的な応用の実現を目指して研究を進め、可視化の研究を行う研究協力者から散布図の選出問題への応用例が提案されている。 テーマ3.「誤り訂正符号系列の存在性についての研究と、その電子署名への応用」 こちらについても存在条件についての研究を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究テーマとしている相互に関係の深い、以下の3種類の研究: 1.暗号と擬似乱数アルゴリズムの開発と評価、 2.グラフの彩色アルゴリズム、分散彩色アルゴリズムの評価、及びその擬似乱数の配置問題、印象評価への応用、 3.誤り訂正符号系列の存在性についての研究と、その電子署名への応用、 のうち、今年度は特にテーマ1とテーマ2に力を入れて研究を進めた。テーマ1については当初の期待とは違う結果になった部分もあるが、新しく得られた知見も多く、順調に進んでいる。テーマ2については、研究協力者による応用研究が進んでいるため、それを保証する基礎研究部分である本研究もより進めておくことが望まれているため引き続き力をいれて進めていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、研究テーマとしている相互に関係の深い、以下の3種類の研究を行う。 1.暗号と擬似乱数アルゴリズムの開発と評価、 2.グラフの彩色アルゴリズム、分散彩色アルゴリズムの評価、及びその擬似乱数の配置問題、印象評価への応用、 3.誤り訂正符号系列の存在性についての研究と、その電子署名への応用。 1についてはAESの乱数性を評価する研究の中で、統計的検定の方法を変えることで、これまで用いていた方法よりも一ラウンド多く棄却できたため、その手法を他の暗号にも適用することを試していきたいと考えている。2については研究協力者から先に本研究を用いた応用研究が発表されているため、その裏付けとなる本研究も早めにまとめて発表したいと考えている。3については引き続き存在条件について調べていきたい。
|
Causes of Carryover |
コロナウィルスの感染拡大により発表を予定していた研究集会が全体にオンラインに変更または中止され、出張旅費がかからなかったため。オンラインで発表できた部分もあるが、まだ発表できていない研究成果もあるため、次年度はオンラインでの発表を増やしたい。また、オンラインで研究発表や研究打ち合わせをするための機材を購入したいと考えている。
|
Research Products
(3 results)