2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03725
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
池田 宏一郎 法政大学, 経営学部, 教授 (60332029)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モデル理論 / ジェネリック構造 / Lachlan予想 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究の目的は,モデル理論でよく知られた予想である,Lachlan予想の解決に一歩でも近づくことにある.研究代表者は,この予想に対し反例があるのではないかと考え,反例を作る手法としてジェネリック構成法に注目した.ジェネリック構成法の代表例として,Hrushovskiの強極小構造,Baldwinの射影平面などがあるが,これらの例は無限群をもたないことが知られている.研究代表者は,これらの例が群をもたないことを示す手法の類似性に注目し,ジェネリック構造が正規である,という概念を導入した.この条件は強い条件ではなく,いままで知られているジェネリック構造の例はすべて正規になる.そこで,どんな正規ジェネリック構造も無限群をもたないのではないかと考え,実際にそれが正しいことを証明した.この結果は,2021年9月7日に開催された「モデル理論夏の学校2021」,2021年12月22日に開催されたTokyo Model Theory seminar,で発表した.なお,この結果に関する論文は現在,投稿中である.また,Hrushovskiの強極小構造は,代数閉体ととてもよく似た性質をもち,代数閉体は仮想元の消去をもつ.よって,Hrushovskiの強極小構造は仮想元をもつか,という自然な問題が考えられる.この問題を一般化し,正規ジェネリック構造が仮想元消去をもつか,という問題を設定した.そして,この問題に関する発表を,2021年12月14日に開催されたRIMS共同研究(公開型)「モデル理論における独立概念と次元の研究」,2022年2月23日に開催されたTokyo Model Theory seminar,2022年3月29日に開催された日本数学会年会,でそれぞれ発表した.設定した問題,正規ジェネリック構造は仮想元の消去をもつか,という問題に対して,部分解を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
この研究は,ジェネリック構成法を用いてLachlan予想の反例を作ることにあった.そこでジェネリック構造の一般的な解析を進め,いくつかの成果をあげることができたが,予想の反例に結びつく結果はあまり得ることができなかった.原因としては,海外研究者との研究打合せ不足があげられる.Lachlan予想に詳しいモデル理論研究者として,John Baldwin氏(イリノイ大学),Frank Wagner氏(リヨン大学)がいるが,コロナ禍により,予定していた海外研究集会の参加,および両氏との研究打合せを行うことができなかった.それらを埋め合わせるため,海外のZoom研究集会も積極的に参加したり,メールによる研究打合せを試みたが,直接,話し合うことによって研究を進めることを想定していたので,思ったより成果が得られなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までは,ジェネリック構成法の解析を,Lachlan予想の反例の作成に結びつける研究に遅れがあった.今後は今年度のコロナ禍の状況を3段階に分け,ほぼ終息したならば,海外研究者との研究打合せを積極的に行う.小康状態ならば,海外研究者とZoomによる定期的な研究打合せを行い,国内研究者とは対面による研究打合せを行いたい.前年度と同じコロナ禍の状態ならば,国内外の研究者が参加する,Zoomによる定期セミナーを行う予定である.いずれにせよ,今後は前年度までに得られた結果を十分に活用し,Lachlan予想の研究の遅れを取り戻したい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,予定していた研究集会の参加ができなかったため.当初の予定では,最終年度の夏に1回,海外研究集会(アイスランド)に参加する予定であったが,本研究の最終的な成果を発表するために,さらに年度末にドイツで開催される研究集会に参加する予定である.なお,これらの予定はコロナ禍の状況によって変更される可能性がある.
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Research Products
(9 results)