2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K03726
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
奈良 知惠 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 研究推進員(客員研究員) (40147898)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 仁一 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (20193493)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 剛性 / 折りたたみ / 多面体 / 連続的平坦化 / 高次元の正多面体 / コーシーの剛性定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
① 研究分担者との共同研究:Covid-19の影響が続き,対面での研究交流は困難となっているので,2回の実施にとどまったが,Zoomを利用して課題に取り組んだ。 ② 共同研究者との共同研究:本研究課題である「剛性条件」に注目した問題として,「剛性の面数や辺数を最大にするような連続的平坦化」を提案し,まず,正多面体について一部の結果を得ることができたので,論文としてまとめ投稿中である(松原和樹氏との共同研究)。Covid-19のため,海外出張が困難であったので,Zoomを利用して,多面体の平坦化に関する従来の問題に取り組むと共に,新しい問題に取り組み始めた。その成果は順次,国際研究集会での研究発表や論文として発信する予定である(MITのErik Demaine氏を中心とするMITグループとの共同研究)。 ③ 研究集会等での研究発表:離散計算幾何学・グラフ・ゲームの国際カンファレンスがタイのチェンマイで開催予定であったが,Zoomでの開催となり,講演とともに司会やプログラム委員を務め,現在はプロシーディングのゲストエディターを担当。日本数学会,日本折紙学会,日本応用数理学会等でも研究成果を発表をした。 ④ 論文発表:2001年に提案された「多面体の連続的平坦化問題」に対して,ある意味で完全解決となる論文を専門誌より発表(E. Demaine氏およびMITグループとの共著)。また剛性条件に関する論文は投稿中である。 ⑤ 社会的活動:インドネシアのバンドン工科大学からの依頼により,「Combinatorics Today Series」の第6回目を担当した(60分間の講演と30分の質疑応答等,Zoom)。明大MIMS共同研究集会を組織委員長として2日間にわたって実施し,講演録は明大よりビデオ配信。日本評論社出版「数学セミナー」に高次元多面体に関する記事を執筆し.掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
① 応用上重要な「剛性条件付き平坦化」の問題について,正多面体の面数や辺数の最大値についてかなり絞りこむことができた。また,最大辺数に関係する予想として,コーシーの剛性定理の「剛性面」という条件を「剛性辺」に緩和しても同様の結論が成立のするのではないか,という予想を提案した。引き続き研究課題として取り組んでいる。また,連続的折りたたみの手法として"roof flattening"や "pyramidal reversing"を新規に開発し,証明に応用した。 ② 長年の課題であった任意の多面体(球に同相)の連続的平坦化について,最終の平坦化状態においてのみ,折り目の個数が可算無限個であることを許すという限定的結果ではあるが,完全に解決でき専門誌に論文が掲載された。そこでは,剛性な(折り目の入らない)表面の面積をいくらでも大きくできるということも証明した。 ③ 凸多面体に関する重要な定理として,アレクサンドロフの糊付け定理がある。しかし,これは「存在定理」であって,具体的な形状はほとんど不明で,コンピュータ・アルゴリズムでも有効なものはまだ得られていない。それを解明すべく,MITグルーとの共同研究を開始した。 ④ インドネシアのバンドン工科大での講演では,多面体の連続的平坦化に関する研究成果を紹介した。大変好評であったとのことで,講演集として本を出版する計画が持ち上がり分担執筆の予定である。 ⑤ ルーマニアの共同研究者(C. Vilcu氏およびC. Zanfirescu氏)から招待講演の依頼があったが対面式であったため受諾できなった。Covid-19が収束すれば研究討論を再開する予定である。 ⑥ 「折り紙」の概念が科学や工学へと敷衍してきたので,研究者同士の交流と研究推進を目的として,明大MIMS共同研究集会を実施し,2日間で述べ160名くらいの参加者があり成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
① 研究分担者(伊藤仁一氏,椙山女学園大,名古屋)と引き続き,毎月1回の定期的な研究討論を実施し,4次元正多胞体の2次元スケルトンの連続的平坦化,および,「4次元の折り紙」として,3次元多胞体の3次元への連続的折りたたみを解決する。 ② 共同研究者との研究討論を実施し,成果発表をする。国内では,松原氏(埼玉大)と取り組んでいる剛性に関する多面体予想を引き続き研究する。海外では,特にMITグループ(E. Demaine, J. O'Rourke, A. Lubiw氏ら)と取り組み始めた「準ツイストによって得られる多面体」に関する研究を続行する。共同研究者の所属するMIT(ボストン,アメリカ)やWaterloo大(カナダ)を訪問して,研究を推進する。また,2年前からメンバーとなったバルバドス・ワークショップ(E.Demaine氏主催)に引き続き参加し,研究討論および論文の作成に取り組む。Covid-19 の影響でZoomでの開催となったが,インターネットを利用して現在も活発に研究討論をしている。 ③ 国内外の研究集会に出席・参加して研究発表および研究交流をする。第34回CCCG (Canadian Conference on Computational Geometry,2022年8月25-27日,カナダ),JCDCG~3 (Japan Conference on Discrete and Computational Geometry, Graphs, Games, 2022年9月9-11日,東京)等に出席・参加して研究発表を行う。日本数学会,日本応用数理学会,日本折紙学会での研究発表を行う。 ④ 研究成果の共有と質疑応答による研究促進のため,引き続き,明大MIMS共同研究集会(2022年12月2-3日,明大)を開催する。 ⑤ 研究成果を書籍の執筆や雑誌への投稿等で発信する。
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Causes of Carryover |
生じた理由:Covid-19の影響により,国内および海外での研究活動が対面式ではできなくなり,そのために旅費として計上した分が未使用となった。 使用計画:2022年度はコロナ感染症の状況が好転すると見込まれるので,共同研究者との対面による研究討論(海外ではMITのE.Demaine氏,Smith CollegeのJ. O’Rourke氏,Waterloo大のA. Lubiw氏,ルーマニアのC. Vilcu氏等,および国内では,伊藤仁一氏,松原和樹氏等),国際研究集会(Canadian Conference on Computational Geometry 2022,SoCG 2022, JCDCG^3 2022等)および国内研究集会(日本数学会秋季総合分科会,日本応用数理学会日本折紙学会等)での研究発表および出席のための旅費として使用する予定である。 また近年,論文出版にはプロフェショナルな論文校正やオープンアクセスが一層求められるようになったので,その費用やノートパソコンの購入等にも使用する予定である。
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Research Products
(10 results)