2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K03731
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
今村 悠里 金沢大学, 数物科学系, 助教 (40633194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 確率過程 / 到達時間 / 対称性 / Carr-Nadtochiy 変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では確率過程の到達時間に対して分布の対称性を解析すること、および到達時間分布によって表される数理ファイナンスの問題の解決を目指している。数理ファイナンスの問題として、例えばバリアーオプションが挙げられる。バリアーオプションは資産価格が決められた満期までの間にある値を通過する、またはしないかによって支払いが場合わけされる商品である。この問題を理解するため、資産価格の時系列データを表す確率過程をもちいて、そのある点への到達時間を評価することが本研究の目的である。研究では到達時間分布の対称性を明らかにすることによって、バリアーオプションをはじめとする数理ファイナンスの問題の解決を目指している。本年度は離散時間確率過程に対する確率過程のある対称性(Carr-Nadtochiy 変換)を導き、論文"Carr-Nadtochiy’s weak reflection principle for Markov chains on Z^d"として発表を行った。この結果により、この結果により多次元の確率過程における対称変換対応が得られたことになる。これはこれまで得られていたCarr-Nadtochiy 変換が多次元でも存在することを明らかにする重要な結果である。今後の研究としては、今回得られた離散時間過程に対するCarr-Nadtochiy 変換を、連続時間過程に一般化することを目指している。また、価格過程の対称性を応用することにより、バリアーオプション価格の性質を理解する、また離散時間過程を用いた対称性による価格の近似手法の開発に取り組む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
離散時間確率過程に対するCarr-Nadtochiy 変換を明らかにし、"Carr-Nadtochiy’s weak reflection principle for Markov chains on Z^d"として発表を行った。離散時間確率過程による近似の収束問題について取り組むため、まずは一般化拡散過程におけるCarr-Nadtochiy 変換を導くことが解決するためには重要であることがわかり、現在この問題について取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
確率過程のCarr-Nadtochiy 変換を多次元に一般化するため、今年度の研究において離散時間確率過程によるCarr-Nadtochiy 変換をえることができた。この離散時間過程によって、連続時間過程を近似することによりCarr-Nadtochiy 変換の一般化を目指している。近似の収束問題について、まずは一般化拡散過程におけるCarr-Nadtochiy 変換を導くことが重要であると考え、現在この問題について取り組んでいる。また、一般化拡散過程におけるさまざまなランダム時間分布においても同様の対称性を考えることが分布の性質の特定に有用であると期待されており、ランダム時間について調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
感染症予防の観点から予定されていた出張や学会発表、および研究打ち合わせのための出張の機会が減少したため予算の使用用途を変更した。次年度において、本年度に使用しなかった予算を用いて対面またはオンラインでの研究集会の開催を計画している。
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Research Products
(2 results)