2022 Fiscal Year Research-status Report
structure of quantum incompatibility
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20K03732
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮寺 隆之 京都大学, 工学研究科, 教授 (50339123)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 量子論基礎 / 一般確率論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、複数の新しいテーマに着手した。一つは、保存量のある場合についての量子測定過程を徹底的に調べることである。これはM.Hamed Mohammady氏とL.Loveridge氏との共同研究で行った。これまでの知見を統一、拡張する広範な結果が得られており、現在投稿中である。特に、Wigner-Araki-Yanaseの定理について、(有限次元の場合における)かなり一般化された定理が得られたことは特筆すべきことである。また、熱力学の第三法則が量子測定にどのような制限を与えるかについても、Hamed Mohammady氏との共同研究で行った。これまで得られていた理想測定の不可能性にとどまらず、さまざまな操作が不可能であることが厳密に証明できた。また、操作論的観点からの第三法則の定式化ともいうべき、新しい見方を導入することもできた。本研究によって得られた結果も、論文に投稿を行い、Physical Review A誌に掲載された。更に、R.Takakura氏との共同研究により、一般確率論におけるプログラミング不可能性定理に関する研究も行った。量子論では、複数のユニタリー発展をプログラムするためには、その数だけ識別可能な状態が必要なことが知られている。本研究では、まず一般確率論においてプログラミングとはどのように定式化されるかを考え、そして異なる自己同型写像のプログラミングには、やはり完全に識別可能な状態が必要であることを定理として示している。また、自己同型とは限らない写像に関するプログラミングも新たに考え、正多角形の状態空間をもつ系において、その近似的プログラミングの限界も定量的に示した。この結果は、Journal of Mathematical Physics誌に掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初には予想していなかった新しい話題へとも広がりを見せるなど、おおむね順調である。特にM. Hamed Mohammady氏という新しい共同研究相手を見つけたことは、今後の発展においても大きなプラスとなるだろうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、同時操作不可能性を主軸としながら、それにとどまらず熱力学との関係や、場の理論との関連などを探っていきたい。特に、熱力学と量子測定の関係についてはM. Hamed Mohammady氏との共同研究を中心に進め、第三法則だけではなく、特に第二法則の与える影響についても考える予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、予定していた海外出張および研究者招へいができなかった。
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Research Products
(3 results)