2021 Fiscal Year Research-status Report
Studies of dynamic programming partial differential equations related to optimal control in path-dependent systems
Project/Area Number |
20K03733
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
貝瀬 秀裕 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (60377778)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 最適制御 / 動的計画法 / 動的計画偏微分方程式 / 粘性解 |
Outline of Annual Research Achievements |
最適制御では多くの場合、系 (システム) の未来の状態が現時点の状態にのみに依るとするいわゆるマルコフ的な系を考察の対象とし、そのような系の状態を制御するための数学理論が発展してきた。一方で、遅延系や経路依存コストの最適制御、また非整数階微分方程式で支配される系に対する最適制御などでは、現時点の状態やコストが過去の状態経路に依存するため、マルコフ的な性質に根ざす数学理論が直ちに適用できない。本研究では、従来のマルコフ的な系も含め、経路依存系における最適制御問題に対する動的計画的手法を発展させることを目標としている。今年度の研究実績を以下に述べる: (1) 昨年度行ったシュレディンガー方程式の解の確率論的表現の研究をさらに進めた研究成果を、学術雑誌に発表した。本研究では、以前の研究における条件を精緻化し、退化した複素数値拡散過程の期待汎関数を用いてシュレディンガー方程式の解の表現を実現した。 (2) 昨年度行った非整数階常微分方程式によって支配される系の最適制御における動的計画的偏微分方程式と粘性解の研究を引き続き行い、その研究成果を国際学会で発表した。 (3) ゼロ・サム微分ゲームにおいてミニ・マックス条件が成立しない場合、上側・下側Isaacs偏微分方程式の間に乖離が発生し、一般に鞍点の存在は期待できない。経路依存の決定的系における上側・下側Isaacs偏微分方程式を補完するIsaacs偏微分方程式に対して粘性解の近似解を構成し、その近似解の確率的なゲーム表現を与えた。本研究成果は、学術雑誌への投稿準備中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
非整数階常微分方程式により支配される最適制御問題に対する動的計画法の研究成果を国際学会で発表するに至った。一方で、この研究テーマについては他の研究者らによる進展も見られるため、自身が得た研究内容の意義について精査が必要である。また、経路依存Isaacs偏微分方程式の粘性解の近似やその意味付けの研究に関して発展があった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ここ数年、経路依存系における最適制御の数学理論の研究の発展が目覚ましい。研究計画を立てた当初には予想していなかった非整数階確率微分方程式や非整数階常微分方程式で支配される系の最適制御に関する研究が活発である。今後はこのトレンドと本研究計画で掲げた研究テーマとの関係を考慮に入れながら研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染の蔓延により、当初参加予定していた国際学会や研究集会、また共同研究のための旅行ができなかった。それを補うため、計算機の導入や書籍の購入などで研究環境を充実させた。
|
Research Products
(6 results)