2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03735
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今 隆助 宮崎大学, 工学部, 教授 (10345811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | パーマネンス / パーシステンス / ロバストパーマネンス / 一様パーシステンス / 一回繁殖型 / レスリー行列モデル / 多回繁殖型 / 大域漸近安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は以下の研究を行った.(ア)1回繁殖型レスリー行列モデルと多回繁殖型レスリー行列モデルを結合させた年齢構造化競争モデルを提案し,その大域挙動を調べた.特に,密度に依存した生存率が年齢間で同一で捕食者飽和が存在するという,個体群振動が起こりやすい状況を仮定して調べた.その結果,多回繁殖型個体群モデルが1回繁殖型個体群モデルに摂動を与えたものとしてみなせ,年齢構造化競争モデルがロバストパーマネンスであるとき,次のことを証明する足掛かり得た.(1)多回繁殖型レスリー行列モデルが個体群振動を起こす.(2)年齢構造化競争モデルにおいては,1回繁殖型個体群に多回繁殖型個体群が侵入できる.(3)競争排除がおこり,多回繁殖型個体群が絶滅する.現在,この結果を精査している.(イ)コルモゴロフ型方程式の一種であるRosenzweig-MacArthur モデルにパッチ状の空間構造を加えたモデルを提案し,その安定性解析を行い,パッチネットワークの構造が個体群振動へ与える影響を調べた.特に,個体の移動が瞬時に起こると仮定し,特異摂動法を用いて解析した.パッチネットワークが正則なときには,空間構造がRosenzweig-MacArthur モデルを安定化させることも不安定化させることもないが,パッチネットワークが正則でないときには,そのどちらもが起こりうることを示した.現在,この結果を論文にまとめており,学術雑誌に投稿する準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は,パーマネンスの応用面の研究を進めた.特に,ロバストパーマネンスの結果を応用することにより,年齢構造化競争モデルの大域挙動解明の足掛かりが得られることが明らかとなった.次年度以降に,何を示さないといけないかが明確になった.また,当初予定していなかったRosenzweig-MacArthur モデルに関する成果を得た.以上により,おおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度のロバストパーマネンスに関する研究結果を踏まえ,年齢構造化競争モデルのロバストパーマネンスについて研究を進める.さらに,当初予定していた1回繁殖型レスリー行列モデルとロトカ・ヴォルテラ方程式のパーマネンスとの関係についての研究を進める.
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Causes of Carryover |
感染症流行のため,出席する予定の国際会議や国内会議が,キャンセルになったりオンライン開催となったため,次年度使用額が生じた.
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