2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03735
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
今 隆助 宮崎大学, 工学部, 教授 (10345811)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Franke-Yakubuモデル / 1回繁殖型 / 不変曲線 / Rosenzweig-MacArthur モデル / ヘテロクリニック軌道 / Ricker写像 / 2周期解 / 非線形差分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
(ア)Franke-Yakubuモデルの大域挙動を研究した.このモデルは非線形差分方程式で記述された2種競争モデルであり,Ricker型の密度依存が仮定されている.本研究では,ステージ構造をもつ1回繁殖型生物の個体群動態を記述する数理モデルとして,Franke-Yakubuモデルをとらえ直した.Franke-Yakubuモデルは正平衡点をもたないにもかかわらず,2種が共存しうることが知られているが,解の大域的な挙動はわかっていない.Ricker写像の2周期解がパラメータの関数として表現できることを利用し,Franke-Yakubuモデルの境界2周期解の安定性の条件を与えた.この結果により,個体群振動が見られるとき,繁殖遅延が適応的になりえることを明らかにした.これらの成果を論文としてまとめ学術誌へ投稿した.(イ)Franke-Yakubuモデルのように正平衡点をもたない一般的な2種競争モデルの研究を進め,境界平衡点を結ぶ不変曲線の存在条件を与えた.この結果をFranke-Yakubu モデルに適用し,境界平衡点や境界2周期解を結ぶヘテロクリニック軌道が存在することを明らかにし,Franke-Yakubuモデルの大域挙動を部分的に明らかにできた.これらの成果を現在論文にまとめている.(ウ)空間構造をもつRosenzweig-MacArthurモデルの研究結果を論文にして投稿中であったが,その論文にネットワーク上での拡散的分散と非拡散的分散に関する新しい考察を加えた.論文はTheoretical Population Biologyに掲載された.(エ)捕食者の行動の変化が引き起こす交差拡散の数理モデルについての研究結果を論文して投稿中であったが,その論文にモデリングに関する新しい考察を加え再投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していなかったFranke-Yakubuモデルに関する成果や,一般的な2種競争モデルに関する成果を得た.計画していた年齢構造化競争モデルの大域挙動の解明については,小さな進展しか得られなかった.以上により,やや遅れている判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度のロバストパーマネンスに関する研究結果と,本年度のFranke-Yakubuモデルに関する成果を踏まえ,年齢構造化競争モデルのロバストパーマネンスについて研究を進める.さらに,当初予定していた1回繁殖型レスリー行列モデルとロトカ・ヴォルテラ方程式のパーマネンスとの関係についての研究を進める.
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Causes of Carryover |
感染症流行のため国際会議や国内の研究集会に参加できなかったり,論文の掲載料がまだ発生しなかったりしたため,次年度使用額が生じた.
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Research Products
(4 results)