2021 Fiscal Year Research-status Report
Research on constructions of spherical designs and its approximate designs
Project/Area Number |
20K03736
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
平尾 将剛 愛知県立大学, 情報科学部, 准教授 (90624073)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 行列式点過程 / アソシエーション・スキーム / 古典的デザイン / 直交配列 / 球面デザイン / フレーム・ポテンシャル / 一般化球面アンサンブル |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ハミング・グラフ,ジョンソン・グラフなどのアソシエーション・スキームと呼ばれる代数構造上のランダム点過程から得られる点配置と組合せデザイン,直交配列などの古典的組合せ構造の「近さ」の評価を行った.これにより,アソシエーション・スキーム上で一様に独立で点集合を選んでくるよりは,行列式点過程を用いた方がより古典的組合せ構造に「近い」構造が期待値として得られることを確認した. (2) これまでは球面デザインの「近似構造」を見つける際に古典的な球面上の行列式点過程(球面アンサンブル,調和アンサンブルなど)に着目してきたが,新たにBeltran and Etayo (2018, 2019) によって近年提案された新たな点過程 (偶数次元球面における「一般化」球面アンサンブルと奇数次元球面における射影アンサンブルから誘導される点過程) に着目し,p-フレーム・ポテンシャルの観点からの研究を推進した.この奇数次元における点過程に対しては,これまでと同様にp-フレーム・ポテンシャルの具体的な表現を与えることに成功し,また,偶数次元における一般化球面調アンサンブルに対しては上からの評価を与えている.これによりジッタード・サンプリング点過程を除き,特に奇数次元球面に対しては,BeltranとEtayoが与えた奇数次元球面上の点過程が,そして,偶数次元球面に対しては調和アンサンブルが球面デザインの「良い」近似構造を確率的に与えると期待できる. また,これまでの研究と同様にタイト・フレームの近似構造も確率的に与えると期待できると結論付けることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度, および,2021年度においUniversity of New South Wales (Australia, Sydney) のJosef Dick教授のもとに研究滞在する計画を立てていたが,コロナ禍の影響で最終的には長期間の滞在は中止にすることに決定せざるを得なかった.今後はコロナ禍の影響を鑑みながら,同大学へ短期間の滞在を検討し,一部予定だった研究課題に対する軌道修正を行いつつ遂行する予定である. 軌道修正のひとつとして,昨年度から準備していたアソシエーション・スキーム(ある代数的性質をもった離散構造)上における行列式点過程の解析を行い一定の成果を得ることができた.さらには近年,Beltran and Etayo(2018, 2019)による球面上の確率点過程の解析に対して一定の成果を得ることができた.しかしながら,当初予定のいくつかに対しては検討準備段階である.そこで総合的に判断し,「(3)やや遅れている」と判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) アソシエーション・スキーム上の行列式点過程を研究する準備段階において,Barg-Skiganov(2020)によるハミング・スキーム上のジッタード・サンプリング点過程に対するdiscrepancyに関する研究を知った.これは非常に巧妙な作戦であり,もしほかのアソシエーション・スキーム上においても同様なサンプリングの方法を提案することができれば有用であると考えている. (2) Beltran and Etayo(2019)で提案された「一般化」球面アンサンブルは球面アンサンブルのひとつの「一般化」の方法であり,彼らの方法以外の「一般化」を模索する必要があると考えている.その際に球面上の確率点過程に対するどの性質が球面デザインの近似構造として考える上で重要なのかをさらに検討する必要がある.また,彼らにより提案された2次元球面上のダイアモンドアンサンブルに関しても今後,調査・検討をしていく必要があると考えている. (3) (2)に関連するが,Brauchartらにより検討された点過程が「超一様性」を持つかどうかに対しては検証されていない部分が残されている.近似構造の解析にはこの「超一様性」が重要だと考えており,今後,調査・検討をしていく. (4) Phoaらにより一般化された直交配列(直交配列の近似構造) の検討など,まだ準備段階であり未実施である.今後,さらに構成法,応用事例などを調査,検討し,段階的に調査する必要があると考えている.
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Causes of Carryover |
2021年度においてUniversity of New South Wales (Australia, Sydney) のJosef Dick教授のもとに研究滞在する計画を立てていたが,コロナ禍の影響で中止としたことが一番の理由である. 2022年度において今後のコロナ禍の影響をみながら,同氏の下に短期間ではあるが研究滞在することを計画している.また,研究を進めていく上で必要となる計算機や昨今機会が増しているオンライン・プレゼンテーション用の機材を購入し,今後の研究および成果発表に役立てる予定を立てている.
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