2023 Fiscal Year Annual Research Report
Direct sampling of discrete random structures with algebraic dependencies
Project/Area Number |
20K03742
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
間野 修平 統計数理研究所, 統計基盤数理研究系, 教授 (20372948)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | サンプリング / アルゴリズム / 離散確率構造 / 計算代数 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、代表者の考案したGKZ超幾何系が定める離散確率分布族に関する計算代数を用いたダイレクトサンプリング(所与の分布に独立に従う確率変数を生成すること)のアルゴリズムに動機を得て、その効率化と、より一般的な代数的従属性をもつ離散確率構造への展開を目的とした。 最終年度である令和5年度は、行列パーマネントを含むある種の超幾何多項式の値を評価する量子フーリエ変換に基づくモンテカルロ法を考案した。他に、量子探索アルゴリズムに関わる巡回群の直積上の量子ウォークの混合の評価、超幾何系としての一般化についても考察した。 全体を通した主要な成果は以下の通りである。1)GKZ超幾何多項式に半順序を入れて束を定義し、それに沿った計算複雑性を評価した。2)三角化された無向グラフが定める分布族についてはアルゴリズムの推移確率が閉じた形で得られることを、超幾何多項式の特殊値における和公式から理解した。3)アルゴリズムを実装し、効率をマルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)と比較し、分布によってはMCMCよりも効率が高いことを実証した。4)青本-Gelfandの超幾何系がGaussの超幾何函数の多変数への拡張であることの類似として、良い性質を持たない分布に動機づけられた一変数古典超幾何函数の多変数への拡張を見出した。5)量子超越の実証はランダムに生成した量子回路の出力を古典計算機で生成するタスクについて行われ、分布函数の計算が計算複雑性の意味で古典計算機には難しいことに依拠するが、交換可能確率変数列を混合分布に従う独立確率変数列の混合として表現し、分布函数を求めることなく効率的に生成するアルゴリズムを考案した。6)Dirichlet分布を定常分布とする拡散過程を有限グラフ上の測度に値をとる拡散過程として一般化し、独立集合発見のアルゴリズムの計算複雑性の評価、標本の確率を評価するアルゴリズムを与えた。
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