2021 Fiscal Year Research-status Report
Inverse problems on low-dimensional composite microorganism systems
Project/Area Number |
20K03750
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
齋藤 保久 島根大学, 学術研究院理工学系, 准教授 (30402241)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ケモスタット微分方程式 / 複合微生物系 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境浄化では、どの微生物がどういう条件下でフェノール分解能を最大限発揮するかという既知データから、それら複数種類の協働によって発現される機能のリストアップが希求されている。少数種類のなす不確かな内部構造をもつ複合微生物系を、実際の微生物動態と定性的にも定量的にも合致するケモスタット微分方程式でモデル化し、解のふるまいから内部構造を同定する数学ー逆問題解析―を展開する本研究課題において、実施2年度目における研究実績は以下に記す通りである。 当研究の実施初年度に引き続き、Ralstonia sp. P-10株とComanioans testosterone R2株の2菌株が形成する複合微生物系において、各菌の単一微生物系としてのフェノール分解能と増殖速度に関する実測値、及びそれらの複合微生物系としてのフェノール分解能と菌ごとの増殖速度に関する実測値から、同系の内部構造を明らかにする研究を行っているのであるが、途中、新たな実験データが得られたため、その知見も含めた研究進行に努めた。研究協力者である2名の微生物学者(静岡大学、東京大学)とは、コロナ禍で移動自粛のあった中、3度のリモート打合せと2度の対面打合せ(研究代表者が11月10-12日及び12月27-29日に静岡大学に出張)を実施し、研究を進められた。この成果内容は、昨年度に論文執筆中であった内容に上述の新たな実験データに基づいた研究成果も含めた形で現在、論文執筆中である。 また、上記2菌株にさらに1種類の菌株「LaB-08」を加え、3菌株が形成する複合微生物系において、各菌の単一微生物系としてのフェノール分解能と増殖速度に関する実測値、及びそれらの複合微生物系としてのフェノール分解能と菌ごとの増殖速度に関する実測値から、同系の内部構造を明らかにするという、実施初年度に開始した研究を引き続き行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2菌株についての研究については論文執筆中までに至ったが、3菌株についての研究はなかなか手ごわく、難航しているため。実施初年度の進捗は「やや遅れている」という状況であったため、その遅れを取りもどすべく、2年度目は少なくとも前期3回、後期3回、研究協力者と(大学業務の喧騒から離れて研究に集中できる環境をつくる意味でも)対面による緊密な研究打合せを実施し、3菌株についても一定の解析成果を出す予定であったが、コロナ禍によりそれが叶わなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実施初年度に開始した3菌株(3次元複合微生物系モデル)に関する研究を進め、逆問題解析を展開する。3菌株が形成する複合微生物系では、2菌株に比べはるかに多様な相互作用が想定され、本課題研究が目指す逆問題解析は難航しているが、数学、実験、数値シミュレーションを逐次的、相補的に組み合わせ、さらには生命状態に関する別な視点も取り入れながら、同3次元複合微生物系の内部構造を詳らかにして行きたい。 今年度(実施3年度目)も出張に対して一定の自粛が求められる可能性があるが、リモートによる打ち合わせを活用し、コロナ禍にめげず研究成果を出して行きたい。
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Causes of Carryover |
実施初年度と同様、コロナ禍の出張自粛等で当初の予定より旅費を使用できなかったため。コロナ禍が好転する状況に、集中して研究協力者と対面による打ち合わせを実現し、研究進捗をはかる。
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