2020 Fiscal Year Research-status Report
Numerical analysis of continuous branching process and applications in finance
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20K03758
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山崎 和俊 関西大学, システム理工学部, 准教授 (50554937)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 連続状態分枝過程 / レヴィー過程 / 数理ファイナンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はLamperti変換により連続状態分枝過程と一対一の関係にあるレヴィー過程および関連する確率過程の最適化問題を扱った。 Jose Luis Perez氏、Dante Mata Lopez氏(共にメキシコ・CIMAT)と共同で、企業の資産価値が正のジャンプを持つ指数レヴィー過程に従う場合の最適倒産戦略をLeland-Toftモデルにおいて解析した。最適解をレヴィー過程の尺度関数を用いて表し、二段階の最適化問題を解く事で最適な資本構造を得た。また、数値実験も行うことで、レヴィー過程の正の飛躍が資本構造およびクレジット・スプレッドに大きな変化を及ぼすことを示した。 野場啓氏(統計数理研究所)と共同で、singular control問題のレヴィー過程モデルの研究を行った。数理ファイナンス、在庫管理、ヘルスケア管理等での応用を念頭に、ランニングコストと制御コストを最小限に抑える問題を扱い、ランニングコスト関数が凸であるという仮定の下で、バリア戦略の最適性を解析的に示し、また数値解析によりそれらの結果を裏付けた。 Savas Dayanik氏(Bilkent University)と共同で、マルコフ連鎖の逐次検定の漸近理論に関する研究を行った。隠れマルコフ連鎖によりモデル化された変化点検出と逐次仮説検定の一般化を考え、その漸近理論を追求した。分布が隠れマルコフ連鎖に依存する一連の観測を用いて、マルコフ連鎖が特定の状態の集合を初めて離れる時刻を検出する問題について、計算可能かつ漸近的に最適である戦略を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連続状態分枝過程と一対一の関係にあるレヴィー過程の研究を行い、ファイナンスへの応用に関して論文を二点執筆した。また、並行して離散状態分枝過程に関連する確率過程の最適停止問題を扱い、隠れマルコフ連鎖の統計的決定問題での漸近理論の結果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
レヴィー過程と連続状態分枝過程を結びつけるLamperti変換の理論的および数値的解析を行う。また、そのファイナンスを中心とした分野への応用および分枝過程の一般化についての研究を行う。 まず分枝構造が有理関数の場合を考え、相型レヴィー過程の研究を取り入れる。また、Gaver-Stehfest法等の逆ラプラス変換を用いた数値解析も並行して行う。 連続状態分枝過程の応用として、ファイナンスで現れるスパイクを持つ確率過程のモデルを念頭に、分枝過程を用いた自己励起過程のモデルを行う。同様の研究をvolatility indexや連鎖反応による株価の急速な下落を表すフラッシュクラッシュ等,他のスパイクを持つ確率過程のモデルへの適用も試みる。当初予定していたファイナンスへの応用に限らず、神経科学分野での応用も考え、ニューロンの発火のメカニズムの解析のための、分枝過程を用いたモデリングを行う。 分枝過程の一般化として繁殖率が個体数に依存する場合への拡張を行う。屈折レヴィー過程にLamperti変換を施した場合を考え、レヴィー過程の変動理論を用いた消滅確率・累計子孫数等の計算手法を追求する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた出張が新型コロナウイルスの影響でキャンセルされ、次年度使用額が生じた。この使用額は2021年度に研究の成果発表のために使用する。また、2021年度は、研究成果の報告のための国内旅費、計算機および関連図書の購入に使用する。
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Research Products
(9 results)