2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03762
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堀 健太朗 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (30535042)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 超対称ゲージ理論 / 双対性 / コンパクト化 / 線演算子 / ミラー対称性 |
Outline of Annual Research Achievements |
2,3,4次元における超対称ゲージ理論が双対性とコンパクト化によってどの様に関係しているのか、特に、異なる次元の理論の演算子(局所演算子や線や面などに台を持つ高次元演算子や境界条件など)がどの様に対応するのか、を明らかにすることが本研究の目的である。これには4個の超対称電荷を持つ系列(4次元N=1理論、3次元N=2理論、2次元(2,2)理論)と8個の超対称電荷を持つ系列(4次元N=2理論、3次元N=4理論、2次元(4,4)理論)がある。研究代表者は4個の超対称電荷を持つ理論については精通しているが8個の理論についてはその超対称変換について不慣れである。令和2年度はそのギャップを埋めるため、8個の超対称電荷を持つゲージ理論の超対称多重項の分類および超対称不変なラグランジアンを書き下すことを行った。まず、6次元(1,0)超対称ゲージ理論においてそれを実行し、次元簡約により4次元N=2理論、3次元N=4理論、2次元(4,4)理論での表式を得た。その際、各次元への簡約に適した6次元クリフォード代数の表現を発見することが必要であった。
また、2次元(0,4)超対称ゲージ理論の構造についても詳しく調べた。これは4個の超対称電荷を持つが、研究代表者が精通している(2,2)理論とは別のクラスの理論であり、3次元N=4理論の境界に現れうるものである。特に、(0,4)超対称不変なラグランジアンの最も一般な形を初めて決定した。これはWittenが1994年にゲージ群が自明な場合に行ったことをゲージ理論に拡張するものである。その中でハイパー多重項とツイステッド・ハイパー多重項が共に存在する場合には必ずフェルミ多重項で特定の条件を満たすものが必要であることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績」で挙げたことの多くは「既知」とされていることであるが、研究代表者にとっては新しいことであり本研究を実行するための準備として是非ともやらなければならないことであった。6次元からの次元簡約としてこれらを統一的に記述することに成功したことは今後の研究に役立つと考えられる。とはいえ、このことに想定以上の時間を費やすことになり、そのため令和2年度にやろうと計画していたことの多くを実行することができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度の準備的研究をもとに、いよいよ本研究の中心的問題「2,3,4次元の様々な双対性がコンパクト化のもとでどのような関係にあるのか?」、「各次元のBPS物理量が双対性とコンパクト化のもとでどのような対応関係にあるのか?」に取り掛かりたい。『3次元N=4ミラー対称性から2次元(2,2)非可換ゲージ理論のミラー対称性の導出』においては3次元でN=2超対称性に破った後に円上でコンパクト化する道筋と区間上のコンパクト化により3次元N=4理論から2次元(2,2)理論を直接得る道筋の両方を押し進めたい。『3次元ゲージ理論サイバーグ双対性のもとでの線演算子の対応関係』においては、どのような線演算子があり得るのかを理解することから始める。2次元(2,2)超対称ゲージ理論における境界に置くことのできるゲージ群の表現は何でも良いわけではなく「次数制限則」がかかることが知られていて、これがサイバーグ双対性を成り立たせるために重要であった。3次元超対称ゲージ理論のウィルソン線演算子を定めるゲージ群の表現に対しても同様の制限が存在すること、それが双対性において重要であること、が期待される。この「3次元での次数制限則」を超対称不変量を計算する積分が収束する条件から導き出したい。
|
Causes of Carryover |
計画では中心的課題についてR. Eager等の共同研究者と議論したり、関連する研究を行っているT. Dimofte等と意見交換する予定であったが、準備的研究に注力したためそれについては時期尚早と判断せざるを得なかった。今年度は中心的課題に取り掛かるのでこれを行う。できれば互いの研究機関を行き来して議論したいが、それが困難な状況でもインターネット等を利用して行うことを考えている。
|