2023 Fiscal Year Research-status Report
New perspectives of universality and dynamics of homogeneous turbulence at high Reynolds number
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20K03763
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芳松 克則 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (70377802)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 流体物理学 / 乱流 / 応用数学 / 計算物理学 / 大規模計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
流れの非線形性が粘性効果に比べ十分強い乱流(高レイノルズ数乱流)では,エネルギーの大部分を保有する大きなスケールより十分小さなスケールにおいて普遍的構造があると考えられている。高レイノルズ数乱流における小スケールの普遍的構造について,計算物理学的手法および理論解析を用いて研究を行う。規範的な乱流である周期境界条件下の3次元非圧縮性乱流を対象とする。直接数値計算(DNS)には,高精度高解像度の場が得られる,エリアスエラーを除去したフーリエスペクトル法および4次精度ルンゲクッタ法を用いる。本研究の目的は,DNSおよび理論解析により,3次元非圧縮一様乱流における (A) 非等方外力の乱流の小スケールへの影響に関する普遍的性質,(B) 強い渦構造の乱流統計やエネルギー輸送への影響,(C) 乱流の動力学,非ガウス性の起源を解明することである。 鏡面非対称な統計量であるヘリシティをもつ一様乱流の速度相関スペクトルに対する線形応答理論(LRT),及び,e-z-h分解に基づく摂動展開との対応を明確にした。一様磁場下の低磁気レイノルズ数電磁流体乱流のDNSにエネルギーとヘリシティを一定に保つ外力を導入した。おおよそ1大規模渦回転時間を経過すると乱流場は十分に発達するけれども,さらに数大規模渦回転時間にわたり発展しつづけると,エンストロフィが激減することがわかった。これは,ヘリシティを一定に保ち続けたためエネルギーの逆カスケードが起きているからだと推測される。また,平均濃度勾配下のパッシブスカラー乱流のLRTに関する研究も進めた。そのLRTの粘性対流領域への拡張,ならびに,実空間での3次構造関数の理論解析による非等方性に関する統計則の導出を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナなどの影響による遅れが残っている。また,波数空間での理論解析と実空間での解析との対応の明確化,鏡面対称性が破れた系の解析において現れたある項の処理に時間を要した。しかし,こられも完了し,乱流のLRTの展開が直実に進んでいる。また,非等方力の検討,および,エネルギーを保持するための外力の検討も終わった。一部は予備的なDNS解析ではあるものの,本理論解析とDNSの結果がよく一致することも示している。さらに,より大規模な3次元非圧縮一様乱流のDNSの効率的実行のために,コンパクト差分法とフーリエスペクトル法をハイブリッドし,MPIとOpenMPで並列化されたDNSコードの利用も開始した。フーリエスペクトル法は,圧力のポアソン方程式を解く際に用いられている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,典型的な非等方力を受けた3次元非圧縮一様乱流の小スケールにおける鏡面非対称な統計量に対する影響について,大規模DNSデータの解析を進め,理論との比較を行い,小スケールにおける非等方性に関する統計則を解明する。ヘリシティを一定としない外力を用いて長時間DNSを実行し,統計量の時間平均をとる。また,一様パッシブスカラー場に対する平均スカラー勾配の影響の研究を推進し,今後の理論展開についても考察する。コンパクト差分法とフーリエスペクトル法をハイブリッドしたDNSコードに基づいて,より大規模なDNSに必要なコードを作成し,名古屋大学のスーパーコンピュータシステムFX1000においてデータ解析を実施する。
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Causes of Carryover |
波数空間での理論解析と実空間での解析との対応の明確化,鏡面対称性が破れた系の解析において現れたある項の処理に時間を要したため,大規模計算にやや遅れが生じた。その結果,より効果的に予算を利用するために次年度利用を選択した。未使用額については,名古屋大学のスーパーコンピュータシステムFX1000において,格子点数が1024の3乗の3次元非圧縮一様乱流のDNS実行,そのデータ解析において時間平均を取るためなどの計算機利用料,ならびに,研究成果の発表のための経費にあてる。
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