2023 Fiscal Year Research-status Report
(2+1)Dの交流伝導率やスペクトル関数の臨界性ーCP,O(N)系へのプローブー
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20K03767
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 由弘 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 助教 (60294401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | フラストレーション / 量子スピン |
Outline of Annual Research Achievements |
2次元スピンS=1のフラストレートした量子XY模型、いわゆる、J1-J2 XY模型を厳密対角化の方法で解析した。また、1次元の反強磁性異方的XY模型に横磁場と長距離相互作用のある模型を厳密対角化の方法で解析した。前者は、近年、ソフトコアボソン模型として研究が進んでいる。フラストレーションはこの場合、kinetic frustrationと呼ばれる。従来の量子モンテカルロ法によるボソンのシミュレーションでは全く取り扱えなかった問題で、様々な進展が期待されている。実際、エキゾチックな相がたくさん発見されている。とくに、カイラリティを導入する必要がある状況が報告されており。super solid相においてすら、カイラリティによる解釈が必要であると指摘されている。これらの状況は、本研究目的遂行のために、貴重な材料を提供する。 本研究では、これらを研究の対象とするために、予備的に、フラストレーションによって、パラマグネチック相とXY相との相境界がどのように多重臨界点に至るかを精密に解析した。パラマグネチック相を実現するために、単イオン異方性を考慮に入れ、多重臨界点が位置する、完全フラストレーション点J2/J1=0.5付近を、クロスオーバースケーリングの方法で精密スケーリング解析した。この成果により、本研究の手法の精密さを実証した。 また、1次元の反強磁性異方的XY模型に横磁場と長距離相互作用のある模型では、近年指摘されている、長距離相互作用による高次元系のeffectiveシミュレーションの可能性を検討した。ところが、このようなフラストレーションがある場合には、無秩序相が広範に広がっているということがわかった。したがって、その可能性については、否定的な結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究成果は予備的な考察である。新規な状態を実現する為のシミュレーション技巧上の試験運用と位置づけられる。また、上述のように、新規なアイデアー1次元の模型でeffectiveに高次元のフラストレーション状態を再現するーの有効性を否定する結論を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
シミュレーション技巧上の試験運用は遂行された。上述のフラストレーション系は、厳密対角化の方法の得意とする分野であり、その状態、素励起として、すでに、新規なアイデアやシミュレーション結果が報告されている。これらの状況は、本研究目的遂行のために、貴重な材料を提供する。これらの準備に基づいて、実践的な計算に取り組む。
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