2023 Fiscal Year Annual Research Report
Swarm oscillatorモデルの解析による自己駆動粒子集団の理解
Project/Area Number |
20K03775
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
巌佐 正智 愛知工業大学, 工学部, 准教授 (20444375)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自己組織化 / 自己駆動多粒子系 / 非対称散逸系 / アクティブマター |
Outline of Annual Research Achievements |
自己駆動し粒子間に相互作用のある粒子集団の数理モデルの一つとして,swarm oscillatorモデルが知られており,相互作用をする細胞の集団を記述すると考えられるモデルである.過去の研究により,swarm oscillatorモデルの粒子集団は多様な秩序構造を自発的に形成することが知られており,本研究課題においては,swarm oscillatorモデルの理解を足掛かりに,自然界で多様な秩序構造が形成されるメカニズムの探究を行ってきた. 本年度は,前年度までに得られた成果をもとに,swarm oscillatorモデルに留まらない一般の相互作用多粒子集団系に適用可能な数理的法則の発見を目指し,一般化を試みた.そのため,解析に要する計算量は劇的に膨大なものになったことから, まとまった研究成果 には至らず,目下,計算の途中である. 期間全体を通じては,次のような成果が得られた.Swarm oscillatorモデルにおいては,内部自由度の存在が秩序構造の多様性をもたらしていると予想されてきたが,この予想が肯定的に数理的に示された.また,swarm oscillatorモデルにおける秩序構造形成の多様性には,粒子間相互作用の非対称性も寄与している.対称な粒子間相互作用に加えて個々の粒子に外的な散逸力がはたらくような系では,粒子間の有効的な相互作用は非対称になりうることが示された.内部自由度や非対称な相互作用は,生物的な(アクティブな)粒子に典型的な性質であり,これらの成果が,群れなど生物の集団において多様な集団的挙動が形成される理由を内包している可能性が示唆されたことになると考えられる.一方,現実の細胞の運動と比較することにより,swarm oscillatorモデルが現実の細胞の運動メカニズムと同じ動作メカニズムを備えたモデルであることも示された.
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Research Products
(1 results)