2020 Fiscal Year Research-status Report
Nonadiabatic effects in periodically driven nonequilibrium systems
Project/Area Number |
20K03781
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 和孝 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任准教授 (70415214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 断熱ショートカット / 量子熱機関 / 量子マスター方程式 / 完全計数統計 |
Outline of Annual Research Achievements |
周期的に駆動される量子系や古典確率過程の系について、非断熱効果を取り入れた理論の構築を行った。研究開始までに得られていた2準位系における定式化を拡張することで、非断熱効果を定量的に評価する一般的枠組みを構築した。形式論のみでは有用なものとはならないので、発表を保留にして応用についての研究を進めた。 まず、熱機関についてのプロトコル最適化について研究を行った。非断熱効果の寄与を最適化する手法を考案したが、既存の研究と本質的に同じ内容を与えることがわかった。近年議論されている熱力学的不確定性との関連を引き続き調べている。 また、量子熱機関の問題の解析に着手した。量子マスター方程式を解析することによって、熱機関としての効率や、熱や仕事などの量の評価を行った。それらの量は量子効果によるものとそうでないものに分解される。どのような場合に量子性が顕著な役割を果たすかを調べた。現在論文を準備中である。 確率過程の系における完全計数統計の理論について、新しい視点からの記述を考察した。統計力学において用いられるLee-Yangの方法を用いることで、周期系の特徴を捉えられることを示した。これについても現在発表準備中である。 断熱ショートカットの方法についての研究も進めた。制御項を構成する系統的で実用的な手法を提案した。制御項がスペクトル分解を用いて表されることはよく知られているが、実用的ではない。演算子の満たす交換関係を解析することによってその問題を克服できることを示した。さらに、近似制御項を用いるときに期待されるエラーの上限についての公式を得ることもできた。公式で用いられる量は新しい性能評価の指標となる。論文を発表するとともに、断熱ショートカット全般についての解説を日本物理学会誌に寄稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年は研究初年度のため、成果を出すことよりはさまざまな問題に着手することを意識して研究を行った。そのため、論文等発表件数は少ない。 2年目開始直後の現在、発表準備中の研究も複数あるし、1年目で多くの知見を得ることができたので、研究が停滞していたわけではない。そのため、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は1年目の複数の研究内容について、いくつか残っている問題の解決をはかり、論文として出版することを第一の目標とする。特に、現在準備中である量子熱機関と完全計数統計についての論文それぞれを完成させる。 1年目にまとまらなかった研究や手付かずであったいくつかの問題について、研究を進める。次のような研究を順次進める。(1)非断熱効果の理論を発表可能な形でまとめる。(2)幾何学的描像と不確定性、最適制御との関係。(3)ラチェット系など新たな応用例の開拓。
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Causes of Carryover |
本年度は出張が制限されていたため、旅費を使用することができなかった。また、現在進めている論文執筆が本年度中に完了しなかったため、経費をその他として用いることができなかった。 次年度は論文を発表することによって発生する経費をその他として用いることを計画している。また、外部講師によるセミナーを複数開催することによって謝金を用いる。旅費について、5月現在依然として出張不可であるが、前半期終了時点での状況によって使用予定を決定する。旅費使用が不可能であるときにはそれに代わる手段(通信設備の拡充等)に経費を用いる。
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Research Products
(3 results)