2022 Fiscal Year Annual Research Report
Nonadiabatic effects in periodically driven nonequilibrium systems
Project/Area Number |
20K03781
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
高橋 和孝 三重大学, 工学研究科, 特任准教授(研究担当) (70415214)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 速度限界 / 断熱ショートカット / Krylov部分空間法 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)速度限界の不等式に基づく研究を前年度まで進めてきたが、今年度はその手法を古典確率過程の系に適用できることを示した。確率分布の時間発展について、普遍的に適用できる不等式の関係を導いた。確率分布は適当な参照状態からの距離として特徴づけられ、上限が積分を用いて表される。緩和過程やアニーリング過程、周期過程などの問題に適用を行い、どのような参照状態を用いるのが効果的であるかを議論した。
(2)量子速度限界の不等式は状態についてのものであるが、物理量の時間発展についてのものに拡張することができる。これまで行われてきた研究を拡張し、もっとも一般的な不等式を導いた。得られた結果を用いて、Wegnerフローや、Krylov部分空間法の問題に適用を行った。特に、不等式の飽和条件、つまり等号成立条件を詳しく調べた。Wegnerフローの問題では、戸田方程式を用い、さらに特別な初期条件を用いることによって等号が成立することがわかった。これまで議論されてきた量子速度限界の不等式において等号が成立するのは自明な場合のみであった。多自由度の系において等号が成立するのはきわめて非自明である。また、Krylov部分空間の問題では、Krylov complexityに関して特別な対称性が成り立つときに等号成立条件が満たされることもわかった。
(3)Krylov部分空間法を用いて断熱ショートカットの方法における制御項(断熱ゲージポテンシャル)を構成する新しい手法を提案した。自由度が大きい場合、制御項の構成は困難であるが、本手法を用いると、系統的に制御項を構成することができる。これまで用いられてきた汎用的な近似手法が基礎づけられることもわかった。量子スピン系への適用を行い、非自明な制御項が得られることを示した。
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Research Products
(5 results)