2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Exact First-Principles GW+Bethe-Salpeter Method
Project/Area Number |
20K03784
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
野口 良史 静岡大学, 工学部, 准教授 (60450293)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 第一原理 / GW近似 / Bethe-Salpeter方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
「厳密」な第一原理GW+Bethe-Salpeter法の確立を目指し、手法開発を行った。具体的にはこれまでのGW+Bethe-Salpeter方では、無視されてきた2次の交換項(KaとKb項)を定式化し、我々が独自に開発を行っている全電子混合基底法プログラムへ実装した。2次の交換項の影響を調査するために、本手法をTheil's setとして知られる典型的な有機分子を含んだベンチマークセットへ適応し、S1光学ギャップを計算した。従来の手法で計算をしたS1光学ギャップと比較を行い、2次の交換項の影響を調査した。2次の交換項は励起子のタイプにより寄与の大きさが異なることを明らかにした。以上の結果はPhys. Rev. B, 106, 045113 (2022)に掲載済みである。また複数の学会で発表済みである。 Theil's setで得られた結果を踏まえ、さらに別のタイプの励起子に対する2次の交換項の影響を調べる必要があることが明らかになった。そこで分子間及び分子内電荷移動型励起子へ本手法を適応することとした。計算対象とした系は、浅いHOMOを持つ分子と深いLUMOを持つ分子の2分子から構成される2分子系と第3世代有機発光ダイオードに用いられるTADF分子である。これらの系に本手法を適応した結果、分子間電荷移動型励起に対しては2次の交換項は無視できるほど小さな寄与を持つことが明らかになった。一方、分子内電荷移動型励起子に対しては、最大で0.8 eVと非常に大きな寄与を持つことが明らかになった。そのため分子内電荷移動型励起に対して行われてきた従来の計算は、2次の交換項を含めて再度計算をし直す必要があること示唆する結果となった。これらの結果は、J. Chem. Phys., 159, 234105 (2023)に掲載済みである。また複数の学会で発表済みである。
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Research Products
(3 results)