2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K03792
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
松川 宏 青山学院大学, 理工学部, 教授 (20192750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 摩擦 / スティックースリップ / 地震 / グーテンベルクーリヒター則 / アモントンークーロンの法則 / べき乗則 / ゆっくり地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
3次元系粘弾性体の数値的・解析的研究有限要素法(FEM)により、系の滑り方向の長さ、形状のアスペクト比などにより系全体の静摩擦係数の荷重依存性の冪が変わることを明らかにした[W. Iwashita, H. Matsuakwa and M. Otsuki, ''Static friction coefficient depends on the external pressure and block shape due to precursor slip'', Scientific Reports 13, 2511 (2023) ]。 地震を起こす断層の運動では、滑りとともに発熱し含まれる水の圧力が上昇するとともに、生じる空隙による圧力の低下も起こる。水の圧力増大は滑り面での固体圧力の低下をもたらすため、摩擦に、ひいては滑りに大きな影響を及ぼす。熱、流体圧、空隙率の効果をとりいれて断層の滑りを理論的、数値的に調べ前震から本震に移る条件を明らかにした。前震は、現在盛んに研究されているゆっくり地震とも考えられ、その観点からの研究も進めた[鈴木岳人、松川宏、 ''熱・流体圧・空隙率相互作用によるゆっくり地震から高速地震への遷移とその機構-バネ・ブロックモデルによる解析-''、日本物理学会第77回年次大会 2022]。 地震の頻度分布は冪乗則に従い、それはバネで繋がったブロック列のモデルにより再現される。同じべき乗則が弾性体の滑り摩擦のモデルである端のブロックから駆動したモデルでも成立すること、両者の駆動方法をつなぐモデルでも成り立つことを明らかにした。 沈み込む付加体の作る褶曲構造において摩擦が大きな役割を果たすことを明らかにした[清水柊汰, 鈴木岳人, 松川宏、 ''付加体の圧縮場を模した粉粒体の力学的挙動の粒子間摩擦依存性''、日本物理学会2023年春期大会]。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画にやや遅れを生じているもっとも大きな理由は、コロナ禍により研究を進めてきた大学院生が、満足に研究室にくることができなかったことである。そのような状況を受け、オンラインでの議論を行い、院生を含めたオンラインでの計算環境・研究環境の改善を図ったが、遅れが生じたことは残念である。 現在、遅れを取り戻すため、精力的に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い研究を進める。必要に応じて研究計画を拡張する。
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Causes of Carryover |
現在までの進捗状況に記した理由により研究計画に若干の遅れが生じたため。
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