2020 Fiscal Year Research-status Report
量子可積分性を利用した可積分確率過程の新規創出とその解析
Project/Area Number |
20K03793
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
堺 和光 東京理科大学, 理学部第二部物理学科, 准教授 (10397028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茂木 康平 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30583033)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 可解模型 / 量子可積分系 / 確率過程 / 対称多項式 / 量子計算 / 量子ウォーク / 量子ランダムアクセスメモリ / 畳み込みニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の遂行過程で予想外な進展があった.すなわち,量子的な確率過程である量ウォークを用いて,全く新しい量子ランダムアクセスメモリーの概念を定式化することに成功した.量子情報処理は,情報を「量子的に重ね合わせる」ことによってその高速性を実現する.ところが,情報を量子的に重ね合わせる操作は自明ではなく,量子情報処理実現のための本質的な問題として残されている.本研究で,カイラリティーを付随させた量子ウォークを独自に導入することにより,所望のアドレスに格納された古典情報を,量子的に重ね合わされた状態として実現する方法を考案した.この量子ウォークを用いると,量子力学的に重ね合わされた粒子が,適切に処理されたグラフを「空間的」に移動することによって所望の量子状態を実現することができ時間的な処理が一切必要でなくなる. Refined dual Grothendieck多項式に関する研究を行った.Lattice pathの観点からLittlewood公式やCauchy公式を導出し,更に可解格子模型の分配関数として読み替え,Yang-Baxter代数を利用することで新たな恒等式を導出した.また,last passage percolationと呼ばれる可解確率過程のlast passage timeに関する合同確率がrefined dual Grothendieck多項式で表されることをRSK対応によって証明した.その系として歪dual Grothendieck多項式を遷移確率として導入し,Jacobi-Trudi公式,積分表示やCauchy公式の確率論的導出を行った. また,イジング模型で学習された畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いて,q状態ポッツ模型の臨界点を検出する研究も行った.CNNがイジング模型の臨界現象とは本質的に異なるポッツ模型の臨界点を識別することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究過程で,量子計算の実用化する上で不可欠となる量子ランダムアクセスメモリの構築という予想外の進展があった.反面,本来の研究計画である新規な可積分確率課程に関する研究計画は若干遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
量子ウォークを用いた量子ランダムアクセスメモリ(qRAM)の構築という予想外の進展があった.量子ウォークは,古典的なランダムウォークの量子版であり,ランダムネスは量子的な重ね合わせに起因する.今後は,この量子ウォークを用いたqRAMの物理的な実装も研究計画に新たに加える予定である.
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Causes of Carryover |
COVID-19禍のため国際会議等が中止となったほか,オンライン開催等で旅費のための支出がなくなった.COVID-19禍にもよるが,次年度の旅費および論文投稿料への支出に当てる予定である.
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Research Products
(16 results)